東京科学大学(Science Tokyo)として2度目の新春を迎えました。本学のさらなる飛躍を期するこの1年の始まりにあたり、Science Tokyoを応援してくださる皆さま、学生の皆さん、附属科学技術高等学校の生徒の皆さん、そして日々の教育・研究を支える大学教職員、さらには医療の最前線で尽力されている病院職員の皆さんへ、新春のお慶びを申し上げます。
本年、私たちは「国際卓越研究大学」としての実質的な第一歩を踏み出します。大学院教育は、2028年度入学生からの「一研究科体制」への転換に向けた準備が始まります。学士課程教育においても、医歯学系・理工学系の学生が共に大岡山キャンパスで初年次教育を受ける体制の実現に向けて検討を進めています。
また、附属高校の生徒の皆さんは、一足早く2027年度に大岡山へ移転する予定です。大学のキャンパスがより身近になる変化を楽しみにしていてください。こうした変革の前に、入学や卒業・修了を迎える皆さんも、次のステップへ進むこと自体が、この新しい大学づくりに社会から参加することに他なりません。大学院修了後には、皆さんの挑戦を支える新たなキャリアパス(テニュアトラック制度)も始まります。
研究面では、社会課題の解決に直結する大型拠点の整備が着実に進んでいます。その中核となるのが、昨年7月に設立した「国際医工共創研究院」です。世界トップレベルの医歯学と理工学の研究者が結集し、最先端の工学技術を臨床現場へ即座に応用するトランスレーショナルリサーチを加速させています。未踏領域であった疾患の解明や革新的な治療法の開発など、医工連携が生み出す相乗効果は、既に具体的な成果として表れ始めています。
私たちの最終目標は、ビジョンを共有する社会の皆さまと共に歩み、世のため人のために「善き未来」を築くことにあります。誰もが健やかに、自分らしく生きられる社会を実現すること、それこそがScience Tokyoが存在する究極の目的です。
教職員・病院職員の皆さんの真摯な活動こそが、本学の掲げる「善き生活」「善き社会」「善き地球」の原点です。現場の問いが研究を動かし、研究が現場を救う。この誇り高い循環を、これから共に築いていきましょう。
本学の運営においては、大竹理事長と私は密接に対話を重ねています。機械工学を専門とする理事長と、臨床医学を専門とする私という異なる背景を持つ2人が協調することで、より高い視座につながり、より広いネットワークが開かれていくことを日々実感しています。私は、この体験を、医歯学系と理工学系の背景を持つ学生、教員の皆さん、そして2つの異なる大学に所属していた職員の皆さんにも、ぜひ共有していただきたいと思っています。
異なる知と知が響き合い、新たな価値が生まれる「生きた知の融合」こそが、私たちの進む道です。
これから始まる一連の改革は、当然、試行錯誤の過程にあります。だからこそ、皆さんの意見を柔軟に反映させやすい時期でもあります。新しい制度については逐次情報を発信していきますので、ぜひ皆さんの声を届けてください。皆さんの積極的な参画を心から期待しています。
本年は午(うま)年です。古来、馬は躍動と生命力の象徴であり、人々と共に歩み、文明を前進させる力強いパートナーでした。私たちもまた、馬が広い大地を翔けるようなスピード感をもって、社会の期待に応え、未知の領域へと進んでいきます。
この1年が、皆さんにとって、そして社会全体にとって、光り輝く飛躍の年となることを心より願っています。
2026年1月
東京科学大学(Science Tokyo) 学長 田中雄二郎