AI-Powered Resilient Society 2050 活動報告会 ―― 科学の力で、レジリエントな未来を拓く共創への一歩
東京科学大学(Science Tokyo)が推進する研究体制「Visionary Initiatives(VI)」。その一つである「Resilience-Tech Society(災害・パンデミックにレジリエントな社会を実現する)」の実現に向けた取り組みとして、株式会社IHI、株式会社博報堂、本学による協働プログラムの活動報告会「未来像から考える共創の可能性」を6月22日に開催しました。
本プログラムは、VIが掲げるビジョン構想と、博報堂の「未来洞察」の知見、IHIの技術開発の知見を融合し、2050年の「ありたい未来」を起点に社会価値を創出する共創プロジェクトです。
産学官民の知見を融合する「未来洞察」アプローチ
本プロジェクトでは、「2050年におけるAIと共創する安心・安全な生活インフラ」をテーマに据え、建物などのハード面だけでなく、人の心理・精神面や災害時のレジリエンスを考慮した未来像を検討してきました。
既存技術の延長線上だけではない未来を描くため、博報堂が提唱する「未来洞察(Resonance)」手法を採用。不確実性の高い「未来の兆し」と「未来事象」を掛け合わせ、Resilience-Tech Societyに参画する研究者へのヒアリングや、イラストレーターとの対話を通じて、目指すべき社会像を具現化しました。
2050年を描く6つの未来シナリオ
報告会では、3者のメンバーが約5か月間かけて共創した6つの未来シナリオが発表されました。
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「会話クッションAI」に守られた活き活きコミュニケーション
- みんなの希望が見えて叶う、マイノリティという概念をなくすまちづくり
- 家単位での分散型インフラ自給を可能にする「ブロックハウジング」
- 他者の痛みも喜びも生きる、倍速極限リアル体験
- 五感デバイスによる心の防災
- 個々の自分らしさが輝くAI支援型避難所
※各シナリオ詳細は「産学で描いた 「AI共創型インフラ」が支える未来社会像【未来洞察 共鳴ノート #02】(博報堂 Hakuhodo Inc.)」をご覧ください。
IHIからは、これらのシナリオ作成を通して「重工業」から個人に寄り添う「ヒューマンインダストリー」への転換という、新たな事業の可能性が示唆されました。
「ありたい未来」の実現に向けた共創の輪
発表後、参加者は提示された各シナリオに対し、自身の「気づき」や「具体的なアイデア」を付箋に書き出し、会場内に掲示して共有しました。
参加者からは、単なる感想に留まらない、社会実装に向けた鋭い視点やユニークな解決策など、数多くの付箋が集まりました。これらのコメントは、参加者の高い関心を引き、今後の研究開発やビジネス創出における様々な示唆をもたらす貴重な「共創の種」となりました。
さらに、報告会終了後に開催された交流会では、掲示された付箋のコメントを起点に議論がさらに盛り上がり、組織の垣根を越えて「ありたい未来」の実現について熱心に語り合う姿が見られました。
専門家による多角的な視点と講評
ディスカッションには、本学から大竹尚登理事長をはじめ、Resilience-Tech Societyのプログラムディレクター(PD)を務める鼎(かなえ)信次郎教授、エコシステムビルダーの竹村次朗特任教授、さらには永岑(ながみね)光恵教授ら多くの研究者が参加し、代表して3名から講評をいただきました。
Resilience-Tech Society PD 鼎教授
「このような技術がアフリカなどの貧しい地域や地方にも届く『世界への視点』が重要であること。また、強いAIにコントロールされるリスクへの配慮が必要になります。」
大竹理事長
「提案の水準の高さに驚きました。ヒューマンインダストリーやコミュニティベースのアプローチはまさにこれからの方向性です。『ブロックハウジング』や精神的ケアは、火星探査などの極限環境でも応用できるかもしれません。今日は終わりではなく始まりです。自治体や他企業、哲学者等とも協力して次の一歩を踏み出しましょう。」
津乗センター長(IHI 技術基盤センター)
「2050年という先の未来を見据える重要性を再認識しました。大学の先生や博報堂の皆さんと議論することで、これまで社内からは出なかった柔軟な発想が得られました。引き続き仲間として、共に未来を描いていければと思います。」
今後の展望
今回の協働プロジェクトは、異なる背景を持つ組織が「可視化されたビジョン」を共有することで、深い共鳴と共創関係を築けることを実証しました。
今後、本取り組みを元に「未来共創Dialogue」※としてグローバルビジョンコーディネーションセンターを主体に取り組んでいきます。「未来共創Dialogue」では、VI構想の共有・体験、さらには産学官の多様なパートナーとの連携のきっかけづくりとして、ステークホルダーと対話を重ね、共創の輪を広げていきます。
未来共創Dialogue:東京科学大学が提唱するVI (Visionary Initiatives)の思想・構想を学内外で共有し体験するための対話のフレーム