東京科学大学×日鉄ソリューションズ「夏のリコチャレ2025」開催

2025年10月23日 公開

小中学生対象の数値計算プログラミングワークショップ~プログラミングでストップ温暖化~

東京科学大学(Science Tokyo)は9月13日、日鉄ソリューションズ株式会社との共催で、「夏のリコチャレ2025」イベントの一環として『数値計算プログラミングワークショップ CO2排出量シミュレーターを作ってみよう』を大岡山キャンパスで開催しました。

当日は、小学5年生から中学3年生までの生徒とその保護者など、合計32人が参加。参加者は、CO2排出量を計算するプログラムを自分たちで作成し、プログラミングを通じて温暖化防止に向けたアクションを考えました。

環境問題を考える機会になるとともに、子どもたちが理工系分野への関心を高める有意義な体験となりました。

小中学生とその保護者など合わせて32人が参加

実施内容

ワークショップでは、日鉄ソリューションズ株式会社が教育用のツールとして開発したプログラミング学習サイト「K3Tunnel(ケイサントンネル)」を活用し、参加者自身がCO2排出量のシミュレーションプログラム作りに挑戦しました。K3Tunnelは、直感的に操作できるブロック型プログラミングツールで、プログラミングの初心者や小学生などの年少者でも取り組みやすいのが特長です。

まず、カーボンニュートラルとは何か、CO2削減のためにどのようなアクションがあるかを学びました。その上で、「家の照明をこまめに消す」といった身近なアクションや、「地産地消を心がける」「工場で排出されるCO2を回収して地下に埋める」といった産業界などで行うアクションのメリット・デメリットを数値化しました。CO2削減量や削減にかかるコストをもとに、K3Tunnel上でシミュレーションを行い、スコアを算出しました。

参加者は、ゲーム感覚でスコアを競い合い、楽しみながら自分のアイデアがどれだけ効果的かを試行錯誤し、論理的思考や課題解決に挑戦しました。中には「算数は好きではなかったけれど、シミュレーションに夢中になっているうちに数字が好きになった」という声もあり、理数への興味喚起にもつながりました。

また、日鉄ソリューションズの社員やScience Tokyoの現役学生が、プログラミングやシミュレーションのサポートを丁寧に実施しました。初心者でも安心して取り組めるよう、個別にアドバイスを行い、疑問やつまずきをその場で解決しました。

今回のワークショップは、単なるプログラミング教室にとどまらず、社会課題の解決にICTを活用する方法や意義を学ぶものでした。子どもたちは自ら考えたアイデアをプログラムへ反映し、課題解決の手ごたえを実感していました。

サポートを受けながらプログラム作りに取り組む参加者

さらに、大学のキャンパスで開催することで、将来の進学先として大学をイメージし、その雰囲気を感じる機会になりました。イベントの後半では、Science Tokyoの学生との座談会も開催され、大学生活や進路選択などについて直接話を聞くことができました。参加者からは「自分にもIT系の仕事ができそうで将来が楽しみになった」「キャンパスで学ぶイメージが具体的に持てた」といった声が寄せられました。

このような大学と企業の連携によるイベントを年少者向けに実施することで、理工系分野への興味を早い段階から持つきっかけを作るとともに、中学・高校での文理選択時に理系選択のハードルを下げる効果も期待できます。

参加者の多くが、社会課題の解決や理工系の学びに対して前向きな意識を持ち、今後の進路について考えたり将来の夢を思い描いたりする良い機会となりました。

Science Tokyoの学生と参加者との座談会も実施

参加者の声(アンケートより抜粋)

同伴した保護者からは、以下のような感想をいただきました。

  • プログラミングをブロックで組み立てるところと、その前段のアクションがうまく連動しており、カーボンニュートラルを視覚と思考の両面で考えられる点が非常に良かったと思います。
  • 数字を入力して点数を100点に近づけようとする過程で、少しずつコツを掴み楽しさにつながったようです。
  • カーボンニュートラルというテーマについて、我が子は深く知らなかったが、小学生にも分かりやすい内容で、作業を通して興味が深まった。
  • 大学生・大学院生との座談会も楽しく、リアルな進路の話を聞けて刺激になった。
  • 初めてのプログラミング体験だったが、丁寧な説明と解説でわかりやすかった。
  • 今後は東京科学大学で取り組んでいる研究がカーボンニュートラルにどう寄与しているかも説明してほしい。
  • レベル別のワークショップや、探究型のイベント、工作体験など、今後の企画にも期待したい。

学生・保護者の進路意識

アンケートによると、参加生徒の多くが自らの進路として「理系」に興味を持っていました。また、保護者が重視する大学選びのポイントは「教育内容の充実」「研究内容の充実」「就職率」などが多く挙げられました。

保護者からは、「理系・文系どちらも高いレベルで自己表現できる人間に育ってほしい」「本人の意思を尊重したい」「論理的思考力を身につけてほしい」など子どもに対する多様な想いが寄せられています。

今後の展望

今回のワークショップを通じて、プログラミングと環境問題を結びつけ、子どもたちの「科学する心」や未来への関心を育むことができました。今後も、Science Tokyoでは理工系分野への興味喚起・女子中高生の理系進路支援につながるイベントを継続して実施したいと考えています。

  • 本イベントは「リコチャレ」内閣府・文部科学省・経団連共催の一環です。
  • K3Tunnel\ケイサントンネルは日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。

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お問い合わせ

東京科学大学 リベラルアーツ研究教育院
講師 栗山直子
Email kuriyama@ila.isct.ac.jp