東京科学大学(Science Tokyo)医学部医学科の田中(旧姓 篠﨑) 梓さんと杉原輝紀さんが7月31日から8月2日にかけて富山市で開催された第58回日本医学教育学会学術大会において、優秀発表賞セッション(Student Award)に選出され、研究発表を行いました。その結果、篠﨑さんが同セッションにおいてBest Student Awardを受賞しました。
日本医学教育学会学術大会は、医療者教育に携わる教育者・研究者・医療者が一同に会し、医療者教育における最新の知見や研究成果を共有・交流することを目的としています。また、本大会は「Beyond your boundaries and expectations(既存の枠を越え、想像を超える学びへ)」をテーマに、基調講演・招請講演に加え、領域横断的なワークショップや対話型セッション、若手・学生参加型の企画など、多様な交流が行われました。
今回の受賞は、教育を受ける当事者である学生自身が医学教育に深い問題意識を持ち、学術的なアプローチや新たな技術を駆使して教育の向上に挑んだ素晴らしい成果です。学生が自ら教育に関心を寄せ、その質を高める研究に参画することは、未来の医学教育をより豊かに進化させる力となります。こうした志を持つ若き研究者の挑戦が、今後の医学教育のさらなる飛躍へとつながることが強く期待されます。
研究発表内容
篠﨑梓さん(医学部医学科 学士課程5年)
発表タイトル:医学生が過去に経験した医師との関わりが、現在のコミュニケーションスキル学習への態度へ及ぼす影響の検討
医学生が過去に医師と接した経験が、現在のコミュニケーションスキル(CS)学習への態度に及ぼす影響について検討しました。医学部医学科の4年生100人を対象にオンラインアンケート調査を行い、多変量解析を実施した結果、医師との肯定的な経験はCS学習への懐疑的な態度を有意に低下させ、否定的な経験は逆に有意に上昇させることが明らかになりました。つまり、医師との肯定的な関わりにより、CS学習への前向きな態度を引き出すことが示唆されました。
今後は、優れた医療面接を学生が患者の立場で経験する実習や良好な対話を観察するシャドウイングなど、医師との肯定的な関わりを取り入れた教育プログラムの開発を通じて、医学生の学習意欲向上と患者中心のコミュニケーション教育の充実への貢献が期待されます。
杉原輝紀さん(医学部医学科 学士課程5年)
発表タイトル:AIエージェントと音声AIを活用したOSCE医療面接練習ツールの開発と評価
一般的に医学生が医療面接を練習するためには、模擬患者や技能評価のための指導医が必要であり、学習環境の整備には高いハードルがあります。しかし、今回開発したツールでは学生が1人で練習することができ、技能についても即時フィードバックを行う機能が備わっています。
今回、6人の医学教育の教員が、生成されたシナリオやフィードバックの妥当性などを検証し、ツールを使用した9人の学生に対して、使用感やフィードバックの受容性に関するアンケート調査を行いました。その結果、本ツールが高い妥当性と教育効果を持つツールであることが示唆されました。人的リソースを必要としない、高い教育効果のあるツール開発の取り組みとして、今後のさらなる発展が期待されます。