東京科学大学が参画する「宇宙での医療と一体化した居住空間開発拠点」の関係者36人が、2026年9月11日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターを視察しました。大学、研究機関、企業から集まった参加者は、宇宙環境を生かした創薬研究や有人宇宙活動を支える施設について学びました。「大学で宇宙飛行士を育成する」という本学が掲げる目標を見据え、視察にも熱が入りました。
異なる専門分野の36人が宇宙開発の現場へ
視察には東京科学大学のほか、日本スポーツ振興センター、物質・材料研究機構(NIMS)、竹中工務店、Midtown、日本電気、ジャパンテクニカルソフトウェアの関係者が参加しました。医療・健康、材料、建築、情報技術など、専門の異なるメンバーが一緒に現場を訪れ、宇宙で人が健康に暮らすための課題を共有しました。
はじめにJAXAの有人宇宙技術部門から、事業の概要や国際宇宙探査の動向について説明を受けました。宇宙での居住や宇宙服に関しても意見を交わし、人を宇宙へ送り出し、その活動を支える技術への理解を深めました。
宇宙の重力環境が広げる創薬の可能性
タンパク実験室では、宇宙空間の重力環境を活用した創薬研究を見学しました。参加者は、拡散医薬や新しい膜タンパク質の創出に関わる取り組みに触れ、地上とは異なる環境が医学・薬学の研究にもたらす可能性を学びました。
宇宙での医療を考えることは、宇宙飛行士の健康を守ることに加え、宇宙環境を地上の医療に役立つ研究へ生かすことにもつながります。医学と理工学の両分野を持つ東京科学大学にとって、研究の新たな接点を考える機会となりました。
宇宙飛行士の育成を見据え、訓練設備を視察
参加者は班に分かれて「きぼう」日本実験棟の運用に関わる管制室を見学し、宇宙での活動を地上から支える仕事について学びました。宇宙飛行士養成棟では、閉鎖環境適応訓練設備や低圧環境適応訓練設備、「きぼう」の利用に関する展示も視察しました。
とりわけ訓練設備の見学は、「大学で宇宙飛行士を育成する」という目標を具体的に考える機会になりました。宇宙飛行士に求められる備えや、それを支える施設を目の当たりにし、参加者はそれぞれの専門分野が宇宙での活動にどう貢献できるか、関心を深めました。
医療と居住空間をつなぐ対話へ
視察の最後には、JAXAの自動化・自律化ロボットチームと意見を交わしました。医療、居住空間、ロボット技術をどう結び付けるかを考えるうえで、現場の取り組みを直接学ぶ貴重な時間となりました。
今回の視察で、大学関係者と企業・研究機関のメンバーは、宇宙環境を生かした医療研究から宇宙飛行士の訓練、日々の活動を支える技術まで、幅広く学びました。東京科学大学は、参加者がそれぞれの専門から得た知見を持ち寄り、宇宙での医療と一体化した居住空間の実現、そして宇宙に挑む人材の育成に向けて、医工連携による研究と対話を進めていきます。