東京科学大学(Science Tokyo) 医歯学総合研究科 地球環境医学分野の那波伸敏教授が研究代表者を務める国際共同研究の成果の一つとして、キルギス共和国オシュ国立大学に設立された「大気汚染研究センター(IRCAPS:Inter-Institutional Research Center for Air Pollution Studies)」が、2026年のキルギス共和国開発パートナー調整会議(DPCC)「大気質ワーキンググループ」共同議長に選出されました。国連環境計画とともに、4月17日に共同議長として初めての会議を実施しました。
IRCAPSは、国立研究開発法人 科学技術振興機構と独立行政法人 国際協力機構が国際共同研究全体の研究開発マネージメントおよび経費支援を行う地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)に採択された那波教授が主導する「衛星データ・領域化学輸送モデルを用いた大気汚染評価システムの開発と大気汚染および室内空気汚染対策に関する新拠点の形成」プロジェクトの一環として開設されました。IRCAPSは、キルギス共和国において科学的エビデンスに基づく大気汚染研究、人材育成、政策提言を一体的に推進する研究拠点と位置づけられており、日本とキルギスの研究者が協働し、キルギス共和国内地域の健康課題と環境政策を結びつける実践的な研究を継続的に進めています。
DPCCは、キルギス共和国において、開発パートナーや政府機関などの間で協力を促進する調整会議体です。その中でも大気質ワーキンググループは、国連環境計画、アジア開発銀行、世界保健機関、世界銀行など、多数の国際機関および研究機関が参画し、同国のクリーンエア政策を支える中核的な枠組みとなっています。
近年、同ワーキンググループは、2025年6月に報告書「キルギスにおけるクリーンエア対策の概要(2018–2024)」の取りまとめにも貢献しました。本報告書では、キルギス共和国の首都ビシュケク市における大気質評価や政策対話の成果が整理されており、那波教授が主導するSATREPSプロジェクトの研究成果も、重要な取り組みの一つとして紹介されています。
2026年の任期においては、Science Tokyo医歯学総合研究科 地球環境医学分野 博士課程に在籍するアイペリ・アサンベク・キズィ氏がIRCAPSの実務窓口として、ワーキンググループの連絡および会合調整を国連環境計画の担当者とともに行います。キズィ氏はオシュ国立大学出身であり、環境医学研究とキルギス共和国の社会的・政策的背景の双方を理解する専門人材として、SATREPSプロジェクトの研究成果を国際的な政策対話の場へとつなぐ役割を担います。
IRCAPSはDPCC大気質ワーキンググループ共同議長として、那波教授が日本側研究代表者として主導してきたSATREPSプロジェクトで蓄積された科学的エビデンスと人材ネットワークを基盤に、研究成果が政策議論や国際的な調整の場において適切に共有・活用されるよう取り組み、同国の大気質改善に寄与していきます。