可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲ中性子発生成功

2025年12月3日 公開

内部劣化を可視化しインフラ長寿命化の実現へ

概要

東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の池田翔太助教と、理化学研究所(理研) 光量子工学研究センター中性子ビーム技術開発チームの小林知洋専任研究員、池田裕二郎客員主管研究員、大竹淑恵チームディレクターらの共同研究チームは、社会インフラの喫緊の課題である橋梁(きょうりょう)の内部劣化(滞水、空隙、土砂化、塩害など)を現場で非破壊計測できる可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲ(トレーラー搭載)によって初めて中性子[用語1a]発生に成功しました。なお、RANS-Ⅲの中性子発生は、トレーラーごと格納可能な建物の中で実施されており、今後実証実験も同じ建物の中で行われる予定です。

本研究成果は、橋梁の落橋事故や高速道路における路面陥没事故などを未然に防ぐだけでなく、非破壊で路面の下の内部劣化要因を検出することが可能となり、予防保全(内部劣化を事前に把握しての対策)が促進され、社会インフラの長寿命化に直接貢献すると期待されます。

共同研究チームは中性子の特性を活用し、橋梁内部の腐食原因・内部劣化状態を可視化する非破壊計測の技術と、中性子源発生装置をトレーラーに搭載できるようコンパクト化した技術を統合して、現場で非破壊計測できる可搬型小型中性子源システムを開発しました。今回はこのトレーラー搭載した装置の中性子発生を確認しました。今後屋内での模擬サンプル(実際の劣化を模擬したコンクリート試験片)による劣化可視化等、中性子実証実験が可能となりました。

本研究は、「日本中性子科学会」第25回年会(埼玉県和光市、11月26日~28日)において発表されました(11月28日)。

非破壊計測できる可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲ(トレーラー搭載)

背景

2012年の笹子トンネル天井板落下事故、2025年の八潮市道路陥没事故など、社会インフラの事故は私たちの身近で発生しています。これらはトンネルや下水道管といったインフラの経年劣化が顕在化した結果であり、こうした劣化を早期に把握して対処する予防保全が求められています。

中性子線は、物質を透過しつつ水素原子などに高感度で反応する特徴を持つ量子ビームです。理研では、インフラやものづくりの現場、宇宙環境でも利用可能なコンパクト中性子源による非破壊計測技術を開発しており、2013年より理研内にて、二つの理研小型中性子源システムの1号機RANS(陽子線7メガ電子ボルト(MeV、1 MeVは100万電子ボルト)、ベリリウム(Be)が中性子発生標的)、さらに小型したRANS-Ⅱ(陽子線2.49 MeV、リチウム(Li)が中性子発生標的)を常時稼働させており、これまでものづくり分野からの要望に応えて、鋼板の腐食可視化や鉄鋼材料のオーステナイト相分率計測[用語2]を可能にしてきました。また、屋外の利用を想定した新たな非破壊可視化法である、高速中性子散乱イメージング(パルス中性子の飛行時間法:ToF)[用語3]による模擬サンプルを用いての、橋梁内部劣化(滞水、土砂化、PCグラウト[用語4a]未充填(じゅうてん))可視化、コンクリート内部塩分濃度検出法の開発に成功しています注)

橋梁点検においては、従来の外観目視点検では外に出てきた錆汁(さびじる)やひび割れから近傍内部劣化状態を推定するのみで、劣化箇所の特定が困難であり、またコア抜き(円筒状の穴開け)などの破壊検査では橋梁を傷つけるため、再劣化などが発生すると報告されています。近年、国土交通省も「予防保全」の方針を推進しており、非破壊で内部変状を検出可能な技術開発が喫緊の課題となっています。

研究手法と成果

本研究では、橋梁床版内部に生じる滞水、土砂化、空隙といった劣化損傷、PCシース[用語4b]内や斜張橋[用語5]ケーブル定着部の腐食リスクとなる滞水や空隙を、非破壊で可視化する手法を開発しました。

従来の中性子イメージング[用語6]は、試料の反対側への検出器設置が必要でしたが、共同研究チームは、高速中性子散乱イメージング(TOF法)を用い、橋梁表面から中性子を照射するだけで内部の状態を可視化することに成功しました。

技術的な開発・利用の主なポイントを以下で解説します。

1. 中性子の特性:高い透過能、高い分析能(可視化)

中性子には透過能が高く、水素に対する感度が高いという特徴があり、これらは橋梁などインフラの点検に有利に働きます。インフラはとても巨大なため、外観では分からない内部の劣化損傷や、外部から浸入して劣化損傷を引き起こす水を捉えるなど、中性子を利用した計測に向いています。今回開発したToF法は、エネルギーが高く、深部まで届く高速中性子(最高エネルギー700キロ電子ボルト(keV))を物質に照射し、同じ側に設置した2次元検出器で散乱中性子[用語1b]を検出する非破壊計測法です。散乱中性子は、物質内部の情報を持ち、滞水状況や、空隙の広がりや位置を2次元で可視化することができます。

2.RANS-Ⅲにおける中性子発生の特徴

RANS-Ⅲ専用の新しいコンパクト加速器システムを開発しました。本システムは、永久磁石電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源、高周波四重極(RFQ)線形加速器[用語7]、4系統RF投入システム、ビーム輸送系で構成されます。

イオン源では、プラズマ生成に用いられてきたソレノイド電磁石の代わりに、ネオジム磁石をプラズマチェンバー側面に配置[用語8]しました。これにより、イオン源の本体の小型化と省電力化を実現しています。RFQ線形加速器は、共振周波数を従来機RANS-Ⅱの約2.5倍となる500メガヘルツ(MHz、1 MHzは100万ヘルツ)へ高周波化しました。その結果、断面積を約4分の1、重量を約3分の1の約700kgまで削減し、トレーラー内への設置性が大幅に向上しました(図1)。さらに、加速電極と真空容器を一体化した3体構造を採用することで、高い剛性を確保し、振動に強い安定動作を可能としました(加工製造:タイム株式会社)。

図1. RANS-ⅡおよびRANS-Ⅲ用RFQ線形加速器の断面図。RANS-Ⅲ(右)では、共振周波数を従来機RANS-Ⅱ(左)の約2.5倍へ高周波数化することで、RFQ線形加速器の断面積を4分の1、重量を3分の1まで小型軽量化した。

3. トレーラーに搭載したシステム

RANS-Ⅲのトレーラーは全長12m、幅2.5mと、一般道路走行時に許可申請不要な「40フィート海上コンテナサイズ」にしました。側面は両開きのウイングタイプとなっており、フォークリフトを用いて機器を設置することが可能です(図2A)。

図2Bに示すように、中心に置かれたRFQ加速器により、陽子を車体後方に向かって加速します。車体後部に設置された電磁石により陽子は鉛直方向に向きを変え、Li標的に照射されます。車体床面は平行に設置された長い2本の鋼材で支持されており、その間に設けた開口部にビームラインを通してビームを床下に導いています。RFQ加速器には左右両側からアクセス可能なように十分なスペースが確保されています。高周波の入射効率向上のため高周波アンプは4台に分割されていますが、これは重量分散の効果もあります。限られたスペースでメンテナンス効率を上げるため、高周波アンプはレール上に設置されており、容易に位置を変えることが可能です。アンプ内部はモジュール化されており、予備のモジュールを準備することにより現場での故障対応を可能としています。

真空の維持にはゲッターポンプ[用語9]を採用しており、走行中に無給電で真空を維持できるようになっています。

横方向、上方向へ放出される中性子、ガンマ線を遮蔽(しゃへい)するために、車体下に昇降式の遮蔽体を設置しました(図2C)。走行時は路面より引き上げ、計測時には路面に接触させます。

図2. RANS-Ⅲのトレーラーシステム
A. トレーラーの側面は両開きのウイングタイプ。フォークリフトで機器が設置できる。
B. 中心に置かれたRFQ加速器で陽子を車体後方に向かって加速し、車体後部に設置された電磁石により陽子は鉛直方向に向きを変え、Li標的に照射され、中性子ビームが発生する。
C. トレーラーの車体下に設置する昇降式の遮蔽体。

4. 今回の中性子発生の主要なポイント

陽子ビームは、RFQ加速器の四重極レンズにより直径15 mm程度に収束され、Li標的の中心に照射されます。Li標的の直径は25 mmであり、発生中に振動があってもビームが標的を外れないようにしています。陽子電流が50マイクロアンペア(µA、1µAは100万分の1アンペア)程度の場合、ビームスキャンを行わなくてもLi標的は損傷しないことがRANS-Ⅱの数年間にわたる検証から明らかになっています。陽子エネルギーが中性子発生閾値(しきいち)付近の場合、中性子の発生角度は前方向(本システムの場合は下方向)が多くなります。RANS-Ⅲの場合半数以上の中性子が45度以内に放出されます(鉛直方向を0度とした場合)。このことから、遮蔽体の上部の体積を減らすことが可能となり、RANS-Ⅱに比べて遮蔽体の重量を3割程度減らすことができました。

加速器の屋外での使用については、放射性同位元素等の規制に関する法律[法第10条第6項]で定められており、「橋梁及び橋脚の非破壊検査に使うことのできる装置は、加速粒子のエネルギーが4 MeV未満等の条件となっている。当該放射線発生装置は理研和光内の専用の使用施設で施設基準を満足する建物の中(屋内)で放射線発生装置としての施設検査を受けて当該検査に合格し使用できる装置であること。」とされています。
今回の中性子発生は、建物の中(屋内)でRANS-Ⅲが放射線発生装置としての検査に合格していることを示します。

5.現場利用法(想定)

トレーラー搭載型RANS-Ⅲでは、以下の手順で現場計測が可能です。

  1. トレーラーを橋梁現場に移動
  2. 路面上に2次元TOF中性子検出器を設置
  3. 中性子検出器を覆うように昇降可能な懸架方式中性子発生標的(遮蔽含む)を路面レベルまで下げ、橋梁にパルス中性子を照射
  4. 路面下の床版(しょうばん:荷重を受ける床。多くの場合舗装の下に設置)の内部で散乱した中性子を検出器で計測し、内部劣化状態の情報を取り出し可視化

この実現に重要な研究開発要素は、加速器システムが小型軽量化できたことです。具体的には次の通りです。

  • ECRイオン源の軽量化:ネオジム永久磁石を用いた10cm長の小型イオン源を開発
  • 高周波加速空洞の小型化:500 MHz空洞と4ヵ所からの高周波パワー入射技術により2.49 MeVまで加速
  • 屋外でのトレーラー搭載昇降可能な懸架方式中性子発生リチウム標的遮蔽システムを世界で初めて実現
  • 振動に強いシンプルなビーム照射系
  • 移動/加速器立ち上げ/計測の各モードの迅速な切り替え

以上により、現場での非破壊計測による橋梁内部劣化診断へ向けた実用化開発が加速されます。国土強靭化(きょうじんか)に資する新たな非破壊計測技術が可能となります。

今後の期待

RANS-Ⅲは、現場での非破壊中性子計測による橋梁内部状態の可視化を可能にした世界初のシステムです。今後は、(1)落橋事故の原因となる床版内部劣化(滞水、空隙、土砂化、腐食)を予防的に評価、(2)高速道路や橋梁の安全性向上、インフラ維持管理の効率化、の応用展開が期待されます。

本技術は今後、さまざまな橋梁や高速道路の床版や路面下の内部劣化に関係するモニター技術との連携により、より深刻な劣化や事故につながる可能性の高い箇所の非破壊計測技術としての活用が期待されています。

従来の外観目視点検やコア抜きなどの破壊検査では橋梁を傷つけるため、再劣化などが報告されています。近年、国土交通省が「予防保全」の方針を推進している中、本非破壊計測装置を用いた内部変状の検出が待たれています。

学会情報

講演タイトル:
可搬型小型中性子源システムRANS-Ⅲ開発現状:屋内での中性子発生成功
発表者名:
小林知洋、池田翔太、池田裕二郎、林崎規託、水田真紀、今城想平、福地知則、高梨宇宙、奥野泰希、草野広樹、大胡武、大塚翔、大竹淑恵
発表学会:
日本中性子科学会第25回年会(埼玉県和光市、2025年11月26日~28日開催)、11月28日口頭発表O3-2

用語説明

[用語1a]
中性子:中性子は、電気的に中性の素粒子で陽子とともに原子核を構成している。電荷を持たないため、物質を透過しやすい粒子である。一方で、水素やリチウムなどの軽元素には比較的散乱されやすい性質があり、このように散乱された中性子を散乱中性子という。これらの性質を利用して、物質のミクロな構造や内部状態を調べるために利用される。
[用語1b]
散乱中性子:[用語1a] を参照。
[用語2]
鉄鋼材料のオーステナイト相分率計測:環境負荷低減(CO2削減)、エネルギー効率の向上などの点から、材料の軽量化開発は最重要開発課題の一つとして取り組まれており、特に自動車のボディーなどに広く使われている鉄鋼材料の軽量化は重要な課題である。なかでも「硬さ(高強度化)と変形のしやすさ(延性・靭性(じんせい))」の相対する二つの性質を満足する材料として有望視されている、2種類の結晶構造を有する鉄鋼材料(複層鋼板)においては、内部のオーステナイト相(高温で安定する相)が含まれている割合(相分率)が「高強度化と延性・靭性」の決めての一つとなっており、厚さ1 mm以上の製品となる鋼板の相分率を現場で高精度に非破壊計測可能とすることが求められている。この非破壊計測を大竹チームディレクターらはRANSで実現している。
[用語3]
高速中性子散乱イメージング(パルス中性子の飛行時間法:ToF):内部を非破壊で可視化する、エックス線や中性子線のイメージングでは、通常、計測する物体に、エックス線や中性子線を入射させて、物体の反対側に置かれた検出器で、物質を透過してきたエックス線や中性子線を検出して物体の内部を観察する。高速中性子線は、20cm以上の厚さのコンクリートやアスファルトを透過することができるが、橋梁や高速道路の舗装の下や橋梁の場合は床版の直下に検出器を設置することは困難である。そこで、路面上に検出器を設置して、その上から高速中性子線を入射させ、路面に戻ってくる中性子線を検出することで、舗装の下の劣化(滞水や空隙など)を可視化できるイメージング法を開発した。透過能の高い高速中性子線を路面に入射させると、その下に滞水や空隙、またはその混ざったような状態の土砂化状態があると、その部分の水素により、中性子線がエネルギーを失いつつ、四方八方に散らされ(散乱され)、速さが遅くなることを用いて観察する。散乱される速度の遅い中性子線の強度は、舗装の下の水素の量が多いか少ないか、つまり劣化して滞水しているのか、劣化していないのか、空隙があるのか、によって増減し、さらにその滞水や空隙の大きさや分布によって、中性子が路面上に戻ってくるタイミングに変化が起こる。そこで、劣化の様子(滞水か空隙か)や、大きさや分布の違いを見分けるために、パルスとなった中性子線を路面に入射させ、散乱してエネルギーを失い、遅れたタイミングで路面に戻ってくる中性子線を検出することにより、内部の劣化の状態を可視化(イメージング)する。
[用語4a]
PCグラウト:PCはコンクリートにあらかじめ圧縮応力(プレストレス)を作用させることで、ひび割れやすいコンクリートの弱点を補う構造形式。ポストテンション方式PCでは、プレストレスを導入するために、シースという管の中にPC鋼材を挿入し、その隙間をグラウト(流動体)で充填し一体化させる。それらのシース、グラウトをそれぞれ、PCシース、PCグラウトと呼ぶ。PCはprestressed concreteの略。
[用語4b]
PCシース:[用語4b] を参照。
[用語5]
斜張橋:塔から斜めに張られたケーブルで、つり、支えられる構造形式の橋。ケーブルは耐荷力(外力に抵抗する能力)を左右する最も重要な部材。
[用語6]
中性子イメージング:物質に中性子線を照射し、透過画像を撮影する手法で、エックス線のレントゲン画像に相当する。中性子線が透過しづらいほど陰影は濃く、透過しやすいと陰影が薄く(明るく)なった透過画像が得られる。
[用語7]
永久磁石電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源、高周波四重極(RFQ)線形加速器:永久磁石ECRイオン源は、永久磁石による磁場中を回転する電子のらせん運動とマイクロ波の周波数を一致させて電子を加熱しプラズマを生成することで、陽子イオンを高効率に生成するイオン源。RFQ線形加速器は高周波型加速器の一種で、金属空洞内に対向配置された4枚の電極に生じる高周波四重極電場を利用して、イオンを収束させ、パルス化しながら加速を行う装置である。ECRはelectron cyclotron resonanceの略、RFQはradio frequency quadrupoleの略。
[用語8]
ソレノイド電磁石の代わりに、ネオジム磁石をプラズマチェンバー側面に配置:ソレノイド電磁石は、円筒状に巻かれたコイルに電流を流すことで内部に強く均一な磁場を発生させる電磁石。ネオジム磁石は、ネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)を成分とする強力な永久磁石。プラズマチェンバーは、ガスを電離してプラズマを生成・保持するための容器で、内部にガスや、マイクロ波を導入し、外部の磁場と組み合わせてプラズマを発生する。
[用語9]
ゲッターポンプ:化学的に活性な金属表面が気体分子を吸着する性質を用いて給電なしで真空排気を行う。吸着能力が飽和しても、金属を再蒸着したり、材料を加熱して吸着したガスを放出させたりすることで、性能を再生・再活性化できる。

共同研究チーム

  • 理化学研究所 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム
    • チームディレクター 大竹 淑恵(オオタケ ヨシエ)
    • 専任研究員 小林 知洋(コバヤシ トモヒロ)
    • 客員主管研究員 池田 裕二郎(イケダ ユウジロウ)
    • 研究員 水田 真紀(ミズタ マキ)
    • 研究員 今城 想平(イマジョウ ソウヘイ)
    • 研究員 福地 知則(フクチ トモノリ)
    • 研究員 高梨 宇宙(タカナシ タカオキ)
    • 研究員 奥野 泰希(オクノ ヤスキ)
    • 研究員 草野 広樹(クサノ ヒロキ)
    • 人材派遣職員 大胡 武(オオゴ タケル)
  • 東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所
    • 助教 池田 翔太(イケダ ショウタ)
      (理研 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム 客員研究員)
    • 教授 林﨑 規託(ハヤシザキ ノリヨス)
      (理研 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム 客員研究員)

研究支援

本研究は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期「スマートインフラマネジメントシステムの構築(プログラムディレクター:久田真)」におけるサブ課題B「先進的なインフラメンテナンスサイクルの構築(研究開発責任者:石田哲也)」の助成を受け、また、一部は中日本高速道路株式会社およびオリエンタル白石株式会社との共同研究により実施されています。

発表者・機関窓口

発表者

  • 理化学研究所 光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム
    • チームディレクター 大竹 淑恵(オオタケ ヨシエ)
    • 専任研究員 小林 知洋(コバヤシ トモヒロ)
    • 客員主管研究員 池田 裕二郎(イケダ ユウジロウ)
  • 東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所
    • 助教 池田 翔太(イケダ ショウタ)

発表者のコメント

2013年に理研小型中性子源システムの1号機であるRANSの中性子発生に成功し、鋼材腐食の可視化やインフラ現場での劣化可視化の新たな計測技術である中性子散乱イメージング法の開発成功、RANS-Ⅱ(2.49 MeV陽子線+Li標的)の常時利用、そして昨年、RANS-Ⅲのトレーラー搭載を実現しました。今回の可搬型中性子源システムとしての中性子発生の成功は、世界の大きな課題である、橋梁や高速道路といった大型構造物非破壊計測の現場実現に大きく近づく成果で、インフラ関係者のさらなるご協力を得て、これからの実用化、社会実装へ、進む予定です。ご協力に感謝いたします。(大竹淑恵)

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東京科学大学 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所

助教 池田 翔太

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