白川英樹先生のご逝去を悼んで

2026年9月4日 公開

総合研究院長 追悼の言葉

本学(旧東京工業大学)をご卒業され、旧資源化学研究所(現・総合研究院 化学生命科学研究所)において「電気を通すプラスチック」を発見され、ノーベル化学賞を受賞された本学栄誉教授、筑波大学名誉教授の白川英樹先生の訃報に接し、深い哀悼の意を表します。

東京科学大学 総合研究院
仁科 博史


総合研究院より

2000年にノーベル化学賞を受賞された、本学栄誉教授、筑波大学名誉教授の白川英樹先生がご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
白川先生は、東京工業大学大学院博士課程を修了後、1966年に東京工業大学資源化学研究所(現・東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所)に助手として着任されました。本研究所において、白川先生はポリアセチレンの研究を進め、その後の導電性高分子研究へとつながる重要な成果を生み出されました。
1975年に、米国ペンシルベニア大学のアラン・G・マクダイアミッド教授が資源化学研究所を訪問され、白川先生と出会われました。マクダイアミッド教授が白川先生の作製したポリアセチレン薄膜に強い関心を示したことを契機として、共同研究が始まりました。
その後、白川先生はペンシルベニア大学でマクダイアミッド教授、アラン・J・ヒーガー教授と研究を進め、ポリアセチレンへのドーピングによって電気伝導性が飛躍的に向上することを見いだされました。この成果は「導電性高分子」という新たな研究領域を切り拓き、3氏によるノーベル化学賞受賞へとつながりました。
ペンシルベニア大学から帰国された後も、白川先生は資源化学研究所でこの研究を続けられ、1979年に筑波大学へ移られました。筑波大学においても、長年にわたり導電性高分子をはじめとする研究と教育に尽力され、多くの研究者や学生を育てられました。
筑波大学をご退職された後も、白川先生は子どもたちに科学の魅力を伝える活動をされており、かつて研究された資源化学研究所を訪れ、実験の準備をされる姿も見られました。
さらに近年まで、本学の学生に向けて「科学・技術の最前線」の特別講義をご担当くださり、研究におけるセレンディピティ、異なる分野や考え方を持つ人々との交流、そして「待ち構えた知性」の大切さを、次の世代に伝え続けてくださいました。
白川先生が資源化学研究所で育まれたポリアセチレン研究と、その後、国内外で発展させられた導電性高分子研究、そして科学と真摯に向き合う姿勢は、現在の総合研究院にとっても大切な歴史であり、次の世代へ受け継いでいくべき財産です。
白川先生の長年にわたる科学への多大なご貢献と、本学ならびに資源化学研究所(現・総合研究院 化学生命科学研究所)へのご厚情に深い敬意と感謝を表し、心よりお悔やみ申し上げます。

東京科学大学 総合研究院

関連リンク

お問い合わせ

総合研究院 広報担当