「四大学未来共創連合キックオフシンポジウム」を開催

2026年3月17日 公開

2026年4月2日 更新

集合写真

お茶の水女子大学、東京外国語大学、東京科学大学(Science Tokyo)、一橋大学による「四大学未来共創連合(Future Leading Innovation Partnership:FLIP)」は2月12日、湯島キャンパスの鈴木章夫記念講堂にて、「四大学未来共創連合キックオフシンポジウム」をハイブリッド形式で開催しました。
本シンポジウムでは、各大学の学長あいさつおよびこれまでの教育・研究活動の紹介とともに、東京藝術大学学長 日比野克彦氏による基調講演、専門分野を代表する教授陣によるパネルディスカッションなどを行いました。
Science Tokyoの教職員・学生をはじめ、他大学、研究機関や民間企業など、会場とオンラインを合わせて約200人が参加しました。

開会あいさつ

大竹尚登(東京科学大学 理事長)

Science Tokyoの大竹理事長は開会あいさつで、四大学未来共創連合の名称「Future Leading Innovation Partnership:FLIP」について、「現状をひっくり返し、今の延長線上にない未来を切り拓く」という意志を込めた名称であると紹介しました。
そのうえで、分野を超えて協働し、研究と人材育成の両面から新たな価値を創出していくことの重要性に触れ、四大学が連携して未来共創に取り組んでいく決意を示しました。

開会あいさつをする大竹理事長

来賓あいさつ(文部科学省)

先﨑卓歩氏(文部科学省 大臣官房審議官)

文部科学省の先﨑大臣官房審議官が来賓あいさつを行いました。
女子教育、言語・文化、科学・技術・医療、社会科学といった分野において、四大学がそれぞれ卓越した専門性を培い、我が国の知を牽引してきたことに触れ、本連合が分野の枠を超えて現代社会の多層的な課題に立ち向かうための重要な枠組みであると述べました。
さらに、文部科学省としても大学等連携推進法人制度などを通じて大学間連携を推進していることに言及し、四大学未来共創連合(FLIP)のもとで、異なる専門性を持つ学生や研究者が交わることにより、延長線上にない解決や新たなイノベーションが生まれることへの期待を示しました。
最後に、本連合がクロスオーバー人材育成のモデルケースとして発展し、東京から日本、さらには世界へと新たな知の価値を発信していくことを期待すると述べました。

来賓あいさつをする先﨑大臣官房審議官

四大学 学長あいさつ

続く学長あいさつでは、各大学の特性や連携への意気込みが語られました。

佐々木泰子学長(お茶の水女子大学)

お茶の水女子大学の佐々木学長は、お茶の水女子大学が2025年7月1日に四大学未来共創連合に加わり、新たな連携の一員として歩み始めたことに触れるとともに、四大学が明治期からそれぞれ卓越した専門分野において人材育成や研究開発を進め、日本の発展に寄与してきた歴史を紹介しました。
また、お茶の水女子大学が小規模ながら文系・理系の学部を擁する総合大学であり、自然科学・人文科学・社会科学の融合を特色としている点や、日本女性初の理学博士をはじめとする多くの先人を輩出してきたことに言及しました。
最後に、四大学の先端研究を融合させることで、新たなイノベーション創出に貢献していきたいと述べました。

あいさつをする佐々木学長

春名展生学長(東京外国語大学)

東京外国語大学の春名学長は、四大学未来共創連合の名称「FLIP」に込められた「FはFourではなくFutureである」という考え方を紹介し、連合が未来志向の取り組みであることを強調しました。
さらに、東京外国語大学として、良き生活・良き社会・良き地球の実現に向け、海外機関との連携や多文化共生の推進、コミュニケーションの力を通じて貢献していく姿勢を示しました。
また、AIの時代においても外国語教育や人文知の価値は揺るがないと述べ、本連合の活動を通じて、研究者や学生がより幅広い分野で活躍し、その成果を社会に示していきたいと語りました。

あいさつをする春名学長

中野聡学長(一橋大学)

一橋大学の中野学長は、コロナ禍において当時の四大学連合(旧東京医科歯科大学、東京外国語大学、旧東京工業大学、一橋大学)が月1回のオンライン会合を重ね、情報共有を進めてきたことが、研究面での連携や学生交流の活性化につながったと振り返りました。
また、こうした取り組みが複合領域コースの受講者増など具体的な成果を生んだことに触れ、制度の壁を超え、学生や社会のニーズに応える新たな連携の形が求められているとの認識を示しました。
最後に、本連合の試みが、大学間連携の新たな可能性を切り拓き、制度設計をも牽引するきっかけとなることへの期待を述べました。

あいさつをする中野学長

田中雄二郎学長(東京科学大学)

Science Tokyoの田中学長は、本シンポジウムの会場が四大学にとって歴史的にゆかりの深い場所であることに触れ、四大学の発祥地がいずれもScience Tokyoの湯島キャンパスから近距離に位置していることを紹介しました。
こうした地理的・歴史的なつながりのある場所で、四大学が一堂に会し、連携の意義を改めて確認できたことを嬉しく思うと述べ、本連合の今後の発展に期待を示しました。

あいさつをする田中学長

教育ワーキンググループ報告

関口秀俊執行役副学長(東京科学大学)

Science Tokyoの関口執行役副学長より、教育ワーキンググループの活動報告がありました。
関口執行役は、四大学未来共創連合の発足以降、教育分野において計9回のワーキンググループ会合を重ね、旧三大学連合で実施してきた複合領域コースの再編や、新たな教育プログラムの検討を進めてきた経緯を紹介しました。
また、四大学の特色を生かした教育の充実を目的に、2026年4月から「FLIP国際協力コース」を新たに開設する予定であることを説明しました。修了要件の見直しや、他大学の科目履修を必須とする仕組みにより、学生がより柔軟に学べる環境を整えている点にも触れました。
さらに、2027年4月を目途に、ジェンダーやダイバーシティ、生活をテーマとした新たなコースや、大学院教育プログラムの検討を進めていることを報告しました。
加えて、プログラムに所属していない学生も含めた相互履修制度の整備や、学生同士が交流できる機会の創出にも取り組んでいることに言及し、四大学の連携を通じて、分野横断的な学びと人材育成を一層推進していきたいと述べました。

活動報告をする関口執行役副学長

研究ワーキンググループ報告

佐藤主光教授(一橋大学)・新田元上席URA(東京科学大学)

一橋大学の佐藤教授およびScience Tokyoの新田上席URAより、研究ワーキンググループの活動報告がありました。
佐藤教授および新田上席URAは、コロナ禍の只中に四大学で立ち上げた「ポストコロナ社会コンソーシアム」が、この5年間の活動を経て「22世紀コンソーシアム」へと発展してきた経緯を紹介し、オンラインと対面を組み合わせながら、文理融合の研究連携を推進してきたことに触れました。
また、これまでの主な取り組みとして、オンラインによるキックオフシンポジウムの開催、学生・教員が参加するフィールドワーク、50年後の社会を見据えた未来ワークショップ、教員向けの「大人のためのゼミ」、キャンパスツアーによる対面交流、生成AIと大学教育をテーマとしたリレー講義など、多様な活動を展開してきたことを報告しました。これらの成果をウェブサイト上で記録・公開していることも紹介されました。

活動報告をする佐藤教授(右)および新田上席URA(左)

基調講演

日比野克彦学長(東京藝術大学)

東京藝術大学の日比野学長が「アートと社会をつなぐ」と題した基調講演を行いました。
日比野学長は、東京藝術大学が音楽・美術分野におけるトップクリエイターやアーティストの育成に加え、社会的課題の解決に資するアートと社会の接続にも力を入れていることに触れ、四大学連合という場においてアートの視点から問題提起を行いました。
また、地域芸術祭の事例を挙げながら、アートが地域の魅力を価値化し、コミュニティの再生や人と人とのつながりを生み出していることを紹介しました。さらに、アートは「わからないこと」を引き受け、多様な価値観を可視化し、人の意識や行動を変える力を持つと述べました。
最後に、東京藝術大学が設置した「芸術未来研究所」の取り組みを紹介し、AI時代においては結果だけでなく、創造に至るプロセスそのものにアートの価値があると述べ、研究・教育を通じてその意義を探究していく考えを示しました。

基調講演をする日比野学長

パネルディスカッション: テーマ「分断を超えて」

モデレーター
・藤原武男教授(東京科学大学)
パネリスト
・日比野克彦学長(東京藝術大学)
・伊藤貴之教授(お茶の水女子大学)
・小島祥美准教授(東京外国語大学)
・藤田浩二教授(東京科学大学)
・森口千晶教授(一橋大学)

シンポジウムの後半では、「分断を超えて」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
モデレーターにScience Tokyoの藤原教授を迎え、教育、医療、経済、芸術の各分野を専門とする5人のパネリストが登壇し、現代社会における分断の実相と、それを乗り越えるための方策について、多角的な視点から議論が展開されました。

分断をテーマに、教育・医療・経済・芸術の視点から共創の可能性を探ったパネルディスカッション
モデレーターを務めた藤原教授
パネリストを務めた伊藤教授
パネリストを務めた小島准教授
パネリストを務めた藤田教授
パネリストを務めた森口教授

教育・医療・経済の現場から見える「分断」

議論ではまず、教育現場における分断について、東京外国語大学の小島准教授が、日本語指導が十分に行き届かない子どもや、不登校、自己肯定感の低下といった課題を紹介しました。その上で、異なる文化や言語的背景を持つ子どもたちの強みを学びに生かすためには、対話や体験を通じた関わりが重要であるという考えを示しました。
これに対し、お茶の水女子大学の伊藤教授は、分断を「埋めるべき欠如」として捉えるのではなく、異なる立場や専門性が交わることで新たな価値が生まれる可能性に目を向けることの重要性を述べました。
特に、教育や研究の場においては、立場の違いを前提としながら対話を重ねることで、分野横断的な学びや創造的な発想が育まれるとし、大学がそのために「安心して議論できる場」を提供することが重要であると強調しました。
医療・ヘルスケア分野からは、Science Tokyoの藤田教授が、高齢化や医療人材不足を背景とした医療アクセスや情報格差の問題に触れました。デジタル技術が分断解消に寄与する可能性を示す一方で、デジタルデバイドが新たな分断を生む懸念についても指摘しました。
また、経済の視点から、一橋大学の森口教授は、社会は歴史的に分断と統合を繰り返してきたと述べ、分断を乗り越えるためには制度設計や公正なルールが不可欠であると強調しました。大学連合の取り組みは、異なる専門知が自発的に交わる新たな統合モデルになり得るとの見解が示されました。

アートが示す「分断」の新たな捉え方

東京藝術大学の日比野学長は、アートの役割に焦点を当て、分断は必ずしも否定すべきものではなく、新たな創造性や価値を生み出す契機にもなり得ると述べました。
アートは見えないものを可視化し、人と人の間に対話を生み出す力を持つとし、他者の立場を想像することが分断を乗り越える第一歩になると語りました。

結論:対話と共創の「場」としての大学連合

討論を通じて、SNSやAIなどの技術が分断を加速させる側面を持つ一方で、現場での対話や身体性を伴う経験こそが、信頼や理解の基盤になるという認識が共有されました。
最後に藤原教授は、大学や研究の場が、人と人をつなぐ「対話のプラットフォーム」として機能する重要性を強調し、四大学未来共創連合が分断を超えた共創を実践する場として発展していくことへの期待を述べ、パネルディスカッションを締めくくりました。

閉会あいさつ

田中雄二郎(東京科学大学 学長)

閉会にあたり、Science Tokyoの田中学長があいさつを行いました。
田中学長は、本シンポジウムを通じて、「分断」をテーマに多様な分野の視点が交わり、研究・教育の在り方を改めて問い直す議論が行われたと総括しました。また、課題を細分化することで発展してきた学問の方法論に触れつつ、分野の分割が固定化することで新たな分断を生む可能性があることを指摘しました。
その上で、「Future Leading Innovation Partnership:FLIP」の名称が示すように、既存の枠組みを見直し、異なる知を結び直していく姿勢の重要性を強調しました。
最後に、四大学未来共創連合が、分野を超えた対話と共創を促すプラットフォームとして発展していくことへの期待を述べ、閉会のあいさつとしました。

閉会あいさつをする田中学長

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  • 2026年4月2日 本文の編集を行いました。

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