未来共創半導体イノベーションアリーナ(SiCA:シーカ)が文部科学省enSETに採択
東京科学大学が拠点校および事業全体を統括する運営拠点校として半導体人材育成を牽引
東京科学大学(Science Tokyo)は、文部科学省の令和7年度事業「成長分野を支える半導体人材の育成拠点の形成(enSET)」において、拠点校およびenSET事業全体を統括する運営拠点校として採択されました。本学が提案した拠点名称は「未来共創半導体イノベーションアリーナ(SiCA:シーカ)」であり、横浜国立大学と東京理科大学を連携校として、半導体設計分野における高度人材の育成を目的としています。
背景
世界の半導体産業はファブレス・ファウンドリ型へ移行し、設計力が競争力の源泉となっています。一方、日本では、大学教育においても設計から実装に至る一連の経験を体系的に得る機会は限られており、産業界が求める実践的な力との間に一定の隔たりが存在します。こうした背景から、半導体設計を担う人材の不足は今後さらに深刻化すると見込まれており、産官学民が連携して教育エコシステムを強化することが求められています。
人材育成拠点の特色
未来共創半導体イノベーションアリーナ(SiCA :Semiconductor Innovation and Co-creation Arena)は、半導体設計分野における構造的課題に対応し、社会課題の解決を起点として設計から社会実装までを統合的に主導できる人材〈半導体設計オーケストレーター〉の育成を目指します。〈半導体設計オーケストレーター〉とは、技術的専門性に加えて、社会的要請を俯瞰的に把握し、半導体ユースケースの創出・設計・評価・実装を一貫して推進できる人材を指します。
本拠点の目指す教育エコシステムは、以下の三本柱から構成されます。
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社会課題起点の共創サイクル
産官学民が参画する「共創アリーナ」を設置し、社会課題に基づく半導体ユースケースを抽出・検証し、教育活動へ還元する循環を形成します。 -
一気通貫の実践的設計教育
半導体における基礎から応用、さらには評価に至るまでのプロセスを体系的に学ぶ段階的教育を整備し、初学者から高度専門人材までを連続的に育成します。 -
全国に開かれた学習環境
オンデマンド講義やオンラインEDA環境、公開教材、外部アクセス可能な学習基盤を整備し、時間や場所を問わず均質かつ高品質な教育を提供します。
運営拠点校としての役割
Science Tokyoは拠点校としての活動に加え、全国の拠点を統括する「運営拠点校」としても採択されました。教育資源の集約と品質保証、シンポジウムや公開イベントの実施を通じて成果を広く社会に還元し、オールジャパンでの半導体人材育成を主導します。
拠点概要
拠点名称
未来共創半導体イノベーションアリーナ(SiCA)
拠点校
東京科学大学
代表機関設置部局
東京科学大学 新産業創成研究院
連携校
横浜国立大学、東京理科大学
事業責任者
- 拠点校事業責任者:大橋匠(東京科学大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 准教授)
- 連携校事業責任者:荒川太郎(横浜国立大学 大学院工学研究院・教授)
- 連携校事業責任者:向後保雄(東京理科大学 TUS SciTech 共創推進本部・本部長(副学長))
- 運営拠点校統括:西山伸彦(東京科学大学 工学院 電気電子系 教授)
今後の展望
未来共創半導体イノベーションアリーナ(SiCA)は、産官学民が一体となり、社会課題の解決と新産業の創出を視野に入れた人材育成を推進していきます。Science Tokyoは拠点校および運営拠点校としての責務を果たし、全国の教育・研究機関、産業界との連携を通じて、わが国の半導体設計分野における持続的な競争力の強化と社会への貢献を実現します。さらに、国際的な教育研究ネットワークとの協働を通じて、持続可能で豊かな社会の実現に寄与し、世界に開かれた人材育成拠点として発展していくことを目指します。
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お問い合わせ
環境・社会理工学院 融合理工学系
准教授 大橋匠
Email ohashi.t.f540@m.isct.ac.jp