2025年6月3日から4日にかけて、東京科学大学(Science Tokyo)の大竹尚登理事長がアーヘン工科大学(RWTH Aachen)を訪問し、両大学間の協力を拡大することを目的とした戦略的パートナーシップ協定に署名しました。代表団には林宣宏国際戦略・連携担当副学長、ANNEX Aachenの水越達也ディレクター、そして3名の事務職員が随行しました。

戦略的パートナーシップ協定
本学とアーヘン工科大学は、2007年に大学間協定を締結して以来、研究および学生交流を通じて積極的に協力してきました。2019年3月にアーヘン工科大学キャンパス内に本学初の海外拠点「ANNEX Aachen」を開設して以降、両大学は毎年、共同ワークショップや国際産学連携に関するシンポジウム等を共催してきました。
両大学は、科学の進歩と人々の幸せを探求し、社会と経済に価値を創出するという共通の目標を掲げています。この共有されたビジョンは、アーヘン工科大学の掲げる「Profile Areas(プロファイル領域)」と本学の掲げる「Visionary Initiatives」に反映されており、これらは密接に関連しています。両大学は、戦略的パートナーシップの下、これらの関連した研究分野における協力を強化するため、教員交流や主任研究者(PI)を互いのイニシアティブに参加させることについて合意しました。
署名式の前に行われた両大学のプレゼンテーションにおいて、アーヘン工科大学のリューディガー学長は、戦略的パートナーシップが包括的な協力関係であること、またグローバルな課題に取り組むためにこのようなパートナーシップが同大学にとっていかに重要であるかを強調しました。また、大竹理事長からは、このパートナーシップが、科学技術を通じた日独の連携の発展に寄与することへの期待が述べられました。この共通のビジョンの下で、学術的な結びつきを深め、相互の関与を促進することを目的に、大竹理事長から既存の学生交流の枠組みをさらに拡大することについて提案がありました。また、両大学の学生向けのオープンオンラインコースの共同開発や、両大学におけるサテライトラボ設立など、今後の具体的な取り組みについても議論されました。
署名式に同席した在デュッセルドルフ日本国総領事館の角田剛隆総領事、山形実可副領事からは、流動化する国際情勢の中で価値観の再定義が求められる現在、価値観を共有する技術立国である日独間の協力は国際的に大きな意義を有することから、このパートナーシップに期待する旨のお言葉がありました。



アーヘン工科大学の研究施設を視察
署名式に先立ち、代表団はアーヘン工科大学の主要な研究施設を視察しました。これらの施設は、アーヘン工科大学において本学の研究者と積極的に連携している教員によって運営されています。
シュテファン・ピッシンガー教授からは、クラスターオブエクセレンス: Fuel Science Centerの概要を説明し、その革新的な研究計画と本学との連携事例の紹介がありました。トーマス・グリース教授との議論では、ITA(持続可能な繊維素材のための国際センター)における医療用繊維素材(埋め込み型および着用型)の最先端の開発について、今後の連携の在り方を探求しました。
また、バイオハイブリッド医療システムセンターへの訪問では、アーヘン工科大学の生物医学研究の先端設備の紹介とともに、本学との共同研究の成果と今後の展望が示されました。アーヘン工科大学の新規研究施設の開発と拡張について実地を見学した後、最後は大学病院の視察で締めくくられ、人工知能の患者ケアへの応用に関する説明を受けた後に、最先端のバイオラボ施設を見学しました。
また、署名式の後にはアーヘン工科大学の象徴的な建物であるSuper-Cにおいて、外国人研究者を長期間にわたって支援するWelcome Centerと国際関係部署の役割について紹介があり、さらに本学から交換留学中の環境社会理工学院M1阿部啓生さんからアーヘン工科大学での生活について紹介がありました。



今回のアーヘン工科大学への訪問は、リューディガー学長を始めとする同学の熱意と努力により極めて密度の高く、かつ発展的なものになり、両大学は研究パートナーシップの拡大や将来の協力の機会に対する意欲と期待を高めることとなりました。今回の新しい協定が、両大学間の友情を深めるだけでなく、日本とドイツ連邦共和国との友好関係もさらに強化することが期待されます。
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