東京科学大学(Science Tokyo)体育会ヨット部の男女部員2人が、8月20日~24日に江の島ヨットハーバー(神奈川県藤沢市)で開催された「第78回全日本スナイプ級ヨット選手権大会」に出場し、72艇中42位という成績を収めました。この大会は、学生だけでなく実業団チームに所属する社会人も出場し、国内トップを決める最高レベルのレースです。
出場を決めたのはスナイプ級の遠藤優さん(生命理工学院 生命理工学系 学士課程4年)と髙橋祐樹さん(情報理工学院 情報工学系 学士課程4年)のペアです。2人は関東水域で行われた、選考対象となる複数のレースで優秀な成績を収め、成績に応じて与えられるポイントにより、関東水域枠から全日本大会出場を決めた19艇の中に選ばれました。
Science Tokyoとしての本大会への出場は、昨年の福田滉太さん(理学院 物理学系 学士課程4年)と高橋さんのペアに続いて2年連続の快挙です。また、遠藤さんと髙橋さんはともに大学入学までヨット未経験で、遠藤さんは大学からヨットを始めた学生女子スキッパーとして創部以来初の出場となりました。


出場メンバーのコメント
スナイプ級スキッパー 遠藤優さん(生命理工学院 生命理工学系 学士課程4年)
今回、全日本スナイプという大きなレースに出場でき大変嬉しく思います。私も、ペアの髙橋も、大学からヨットを始めました。未経験ペアが最終学年でのレースシーズンの締めくくりに、このような結果を出すことができとても嬉しいです。
私たちは最終レガッタの直前までボーダーに届いておらず、不安と期待が入り混じった気持ちで最終レガッタを迎えました。ペアを組む髙橋はそのような状況の中でも安定したコースを引いて導いてくれ、とても頼もしく感じました。私はまだ自分の実力を信じることができず、レースシーズンを通しても安定した結果を出すには実力がまだまだ足りないことを痛感しました。ですが、ペアとしては昨年秋の結成から着実に成長していると感じます。
お互い研究室での活動もあり忙しい中での部活動ですが、その経験は必ず今後の研究活動にもプラスになると感じています。
また、今回の出場決定は、いつも練習を共にしているチームのみんな、応援し支援してくださる皆様があってこその結果だとつくづく思います。貴重な挑戦の機会をいただいた全日本スナイプという舞台で、沢山のことを得られるよう、周囲への感謝を忘れずにこれからの練習も全力で挑みます。
スナイプ級クルー 髙橋祐樹さん(情報理工学院 情報工学系 学士課程4年)
私は昨年、鳥取県で開催された全日本スナイプに出場しました。私は1年生の時から、「全日本スナイプに出場できるのは上手な社会人がほとんどで、学生で出場できるのは幼い頃からヨットをずっとやっている一握りの人だけなんだよ」と言われてきました。そんな中、昨年1年間通してレース展開が順調に進み、開催地が遠方であることも味方して、補欠枠が我々に回ってきました。その結果、わが部ではしばらく出場機会がなかった全日本スナイプに出場できたのです。しかし、「出場すること」が雲の上の存在だった私にとって、出場がすなわちゴールになってしまい、結果は胸を張れるものではありませんでした。鳥取での大会の最終日に「次の開催地が江ノ島」と聞いた瞬間から、絶対にもう一度この舞台に帰ってきて「胸を張れる結果を出すこと」を目標としました。その思いを胸に1年間、遠藤と励んできた結果、再び全日本スナイプに出場できたことを嬉しく思います。
今回の出場権獲得は地元開催のため、激戦区であるにもかかわらず昨年の補欠枠と異なり、正式枠を獲得することができました。これは創部以来初の快挙であり、関東水域での女子スキッパーというカテゴリーにおいては8年ぶり(オリンピアンを除く)、さらに大学からヨットを始めた「未経験」というカテゴリーにおいては、いつ以来か見当もつかないほど久しぶりの快挙です。それほどまでに「未経験の女子がスナイプのスキッパーで社会人とも競いながらいい成績を残す」というのは、大変素晴らしいことです。実際、今年のレースはより力が必要な強風下でのレースが多かったのですが、その中でも遠藤は数々の男子スキッパーの前を1年間走りきりました。そして、彼女が得意とする弱い風速域では、周りを寄せ付けないレース展開を繰り広げ、一緒に乗る私は何度も助けられました。彼女の果敢な姿勢を目の当たりにして、私自身も研究や生活面で非常に勇気づけられています。
本大会への出場に導いてくれた遠藤や、部員、普段支えていただいているハーバーの方々などへの感謝の気持ちと共に、全日本スナイプというリベンジの舞台で、「胸を張れる成績」を収め、最終目標である全日本インカレ入賞へと励んでいきます。今後ともご支援、ご声援のほど、よろしくお願いいたします。
ヨットレースとは
ヨットレースは、海上に設置されたブイを決められた順番で規定回数通過してフィニッシュの順位を競うスポーツで、ヨットのスピードと進路の決め方が勝敗に大きくかかわります。ヨットのスピードを上げるには、刻一刻と変化する波や風に応じて、舵やセールを適切に調整しながら船を走らせる技術が求められます。一方で最適な進路を決めるためには先の風を読む力が必要で、高度な戦略や戦術が要求される頭脳スポーツでもあります。
スナイプ級とは
スナイプ級は、メインセールとジブセールという2枚のセールを持つレーシング・ディンギーを使用します。スピードにあまり差が出ないため、風を味方につけ、他艇と駆け引きをしながらレースを展開する必要があります。船底にあるベルトに足をかけ、上半身を外に出してバランスをとり、艇の傾きを抑えます。スキッパーとクルーの2人1組で艇を操作し、スキッパーは主にメインセールの操作を担う艇の舵取り役、クルーは艇のバランスをとりつつ周囲の状況を踏まえて戦略やコースを決める役割を担います。
東京科学大学体育会ヨット部とは
部活動としても歴史が古く、一般社団法人くらまえ潮会という会員数400人を誇るヨット部OB/OG会が、「一人前のセーラーを育てることは、すなわち一人前の社会人を育てること」をモットーに、現役部員の活動を全面的に支援しています。今回の大会への出場も、OB/OG会の支援を受けています。
関連リンク
※ヨット部の活動は東京科学大学基金によりサポートされています。
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