洗足池小学校の小学生を迎え、15ヵ国の留学生16人による「日本語研修コース修了ポスター発表会」を開催

2025年9月3日 公開

東京科学大学(Science Tokyo)リベラルアーツ研究教育院は、7月10日、本学の留学生(日本語研修生)による「日本語研修コース修了ポスター発表会」をHisao & Hiroko Taki Plazaイベントスペースにて開催しました。

発表会では、中南米、ヨーロッパ、南アジア、東南アジア、中東、北米など、幅広い地域から集まった留学生16人が、約4ヵ月間、週5日で日本語や日本文化を学んだ成果を発表しました。留学生たちは発表に先立ち、何度もリハーサルを行い、日本語教員とディスカッションを重ねて準備を進めました。4月の来日時点では日本語がまったくできなかった学生も多くいましたが、4ヵ月間で小学生からの質問に答えられるまでに上達しました。

日本語研修コースの留学生と担当教員の集合写真

発表では、各自が作成したポスターをもとに、出身国の暮らしの様子、地理、自然、名跡、文化や習慣、言語などを紹介しました。自国の文字をノートに書いて見せたり、紙幣やお守りなどの実物を披露したり、挨拶のジェスチャーを小学生に教えるなど、発表の内容に工夫を凝らしました。会場の設営や準備も留学生自身が行いました。

当日は、学内外から多くのゲストが来場し、留学生の発表に耳を傾けました。留学生がこの発表会に先立って訪問した大田区立洗足池小学校からは、5、6年生の児童と教員合わせて約170人が来場したほか、鎌倉フィールドツアーで留学生を案内した神奈川県のボランティアガイド団体「神奈川SGGクラブ(Kanagawa Systematized Goodwill Guide Club:神奈川善意通訳者の会)」からも会員4人が来場し、留学生との交流を深めました。

備品の搬入をはじめ会場設営も留学生の手で
留学生各自が作成したポスターをもとに発表
自国のことを知ってもらう貴重な機会に
留学生の発表を聞いてコメントを書く小学生

また、Science Tokyoの関口秀俊執行役副学長をはじめ、留学生の受け入れを担当する教員、同じ研究室に所属する友人、過去に発表を行った先輩留学生など、多くの教職員や学生が発表に参加しました。発表会の最後には、大田区教育委員会の小黒仁史教育長および洗足池小学校の伊藤聡校長から、留学生への感謝の言葉とともに発表会の感想が述べられました。さらに関口執行役副学長からは、小学生を歓迎する言葉と留学生への励ましの言葉が贈られ、小学生の代表者からも、留学生の発表に対する感想が発表されました。

参加した小学生に感謝の言葉を伝える留学生
留学生に励ましのコメントを贈る関口執行役副学長

小学生のコメント(一部)

  • グアテマラのコーヒーがスターバックスでも使われていることにびっくりしました。
  • ハロウィンの起源を知ることができてよかったです。日本のハロウィンと違うところがあって面白いと思いました。
  • イギリスのバンドのことを家で調べてみます。すごく分かりやすかったです。
  • K2峰の高さに驚きました。行ってみたいと思いました。
  • ブラジルには絶滅危惧種の動物がたくさんいることを知りました。
  • お話の内容が全て面白くて、さまざまな国に行ってみたくなりました。
  • ルーマニアにあるブラン城(ドラキュラの家)のことがすごく気になりました。
  • インドネシアの小さな島に、全長約3mのコモドドラゴンというトカゲがいると知り、驚きました。
  • モルディブのお金が防水の紙でできていることに驚きました。島が2,000個もあると聞いて、自然がたくさんありそうだと思いました。

留学生のコメント

  • A very interesting experience, I think it really helped us to express our thoughts in Japanese and figure out how to communicate our ideas effectively.
  • The presentation experience was truly enjoyable and meaningful. It gave us a great chance to practice Japanese and connect with students in a fun and interactive way. I was especially happy to see how excited the students were when they could experience local things such as money, traditional jewelry, and even trying to say words in our language. It made me realize how powerful hands-on interaction can be in helping others learn about our countries and regions in a more meaningful way. Overall, it was a well-organized and valuable opportunity for which I am truly grateful.
  • At the beginning, I was a bit nervous about presenting, but I started to feel more confident. Practicing many times was useful.
  • The event was overwhelmingly joyful for me. I got to interact with a lot of school kids, and felt happy to educate them on my country and traditions. It was a very educational trip for the schoolchildren, and I got to practice plenty of spoken Japanese. The event encouraged me to speak freely in the future. I tried to overcome my hesitance to communicate and learned that Japanese people appreciate it when you speak their language.
  • I felt more prepared and was able to speak several times with confidence. I am also very happy with how much progress we have made in Japanese — we were able to talk about our countries and regions clearly and proudly. It was a lot of fun, and I truly hope the kids enjoyed it as much as we did.

(日本語訳)

  • とても興味深い体験でした。自分の考えを日本語で表現する助けになり、また、考えを正しく伝える方法を見つけるのにも役立ったと思います。
  • 発表の経験は本当に楽しく、そして意義深いものでした。日本語を練習する良い機会であると同時に、小学生たちと楽しく、インタラクティブな形で交流することができました。特に嬉しかったのは、現地のお金や伝統的なアクセサリーに触れたり、私たちの言葉を話してみたりすることで、子どもたちがとても楽しそうにしていたことです。実際に手で触れたり言葉のやりとりをすることが、他の人に自分たちの国についてより深く知ってもらうために、とても効果的なのだと実感しました。全体として、とてもよく準備された、価値ある機会だったと思いますし、心から感謝しています。
  • 最初は少し緊張していましたが、発表を始めると自信を持って話すことができました。何度も練習したことがとても役に立ちました。
  • このイベントは、私にとって圧倒的に楽しい体験でした。たくさんの小学生と交流することができ、自分の国や伝統について紹介できたことがとても嬉しかったです。全体として、子どもたちにとっても学びの多い時間だったと思いますし、私自身も日本語をたくさん話す練習ができました。このイベントを通して、今後もっと自由に日本語で話そうという気持ちが強まりました。最初はコミュニケーションに対してためらいがありましたが、それを乗り越えようと努力して日本語で話すことで、日本の人たちが喜んでくれることを実感できました。
  • 私は前よりも準備ができていて、自信を持って何度も話すことができました。また、日本語の上達を実感できたこともとても嬉しかったです。自分たちの国について、はっきりと、そして誇りを持って話すことができました。本当に楽しい時間で、子どもたちも私たちと同じくらい楽しんでくれていたらいいなと思います。

日本語研修コースとは

年に2回開講する国費外国人留学生を対象とする日本語の集中講座です。定員に余裕がある場合は学内から特別受講生を募集します。本コースは、来日直後の学生に対する日本語初級レベルの能力養成を目的としていて、コース終了までにやさしい日本語で口頭発表ができる程度の語学力が身につきます。異なる文化背景を持った留学生にとっては、日本の生活に関する「情報交換の場」であり、心の拠り所である「集いの場」や「学び合いの場」ともなっています。

授業の中では、鎌倉ツアー、美術館訪問、防災体験学習施設「そなエリア東京」での防災体験学習、大田区立洗足池小学校および大田区立清水窪小学校の児童との交流など、留学生が地域の人々や日本文化に触れる機会を設け、留学生活を安心して送るためのサポートを行っています。

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