第9回 科学技術と芸術の融合プロジェクト~宝塚歌劇から学ぶ~開催

2026年8月5日 公開

リベラルアーツ研究教育院と大岡山学生支援センターは、7月11日(土)及び21日(水)に、「第9回 科学技術と芸術の融合プロジェクト~宝塚歌劇から学ぶ~」を開催しました。

本プロジェクトは、Science Tokyoの学生を対象に「レクチャー+リアルな観劇体験+学生同士のディスカッション」を組み合わせ、融合・俯瞰的な視点を養うことを目的としています。

当日は学生約30人と教職員が東京宝塚劇場に赴き、月組公演 三国志炎戯『RYOFU』、Amazing Fantasy『水晶宮殿(クリスタルパレス)』を観劇しました。初めて宝塚歌劇に触れる学生も多く、素晴らしい出会いの機会となりました。

東京宝塚劇場前にて
案内用ポスター

本プロジェクトの大きな特徴として、本学教員による専門的な事前(オンデマンド)・事後(対面)レクチャーが組み込まれており、観劇体験をより深い学びへとつなげています。

事前学修では舞台芸術(リベラルアーツ研究教育院 山崎太郎教授)や経営戦略(学生支援センター 伊東幸子教授)に関するオンデマンド講義を受講し、事後学修では多様な専門分野のScience Tokyoの教員6名による宝塚歌劇をテーマとした講義(「近代建築と宝塚歌劇」環境社会理工学院 藤田康仁先生、「物理の音と聴こえる音」総合研究院 中村健太郎先生、「作品解説と振り返り」リベラルアーツ研究教育院 山崎太郎先生、高尾隆先生、小泉勇人先生、「からだは「ねじれ」にあふれている~名前のいらない解剖学」ヘルスケア教育機構 山口久美子先生)が行われました。講義後の懇親会では教員と学生が観劇の感想を自由に共有し、多角的な学びと交流を深めました。

事後学修の様子

今後の募集について
本プロジェクトは東京科学大学の学生を対象に年2〜3回開催しており、宝塚歌劇をはじめ歌舞伎やオペラなどの鑑賞を行っています。Slackチャンネル「#an-call-for-participants-参加募集-all」にてお知らせしますので、興味のある方はぜひご応募ください(応募多数の場合は抽選)。

【学生スタッフ】

キム・ナムギョンさん(物質理工学院 材料系 修士課程2年)

「科学技術と芸術の融合プロジェクト~宝塚歌劇から学ぶ~」、今回は宝塚歌劇の『RYOFU』を観劇しました。三国志の物語が宝塚歌劇ではどのように描かれるのかを楽しみにしながら鑑賞しましたが、三国志の世界観がしっかりと表現されつつ、美しく、また物語自体も恋愛ドラマとして仕立てられており、とても見応えがありました。ストーリーだけでなく、舞台装置や照明といった要素も作品全体の美しさを引き立てていました。
事後学習では、理工学系・医歯学系・リベラルアーツという複数の観点から作品を振り返りました。個人的には、公演を観た後にじっくり振り返る機会は少なく、そのまま終わってしまうことが多いのですが、本イベントを通じて、作品を改めて新たな視点から捉え直す経験ができました。その際、一緒に観劇した学生や教職員と作品のストーリーについて意見を交わす時間があり、実にさまざまな見方が出てきたことに驚きました。自分では当たり前だと思い込み、深く考えていなかった点についても、他の人の意見を聞くことで、注意深く考え直すきっかけになりました。
また、医歯学系の先生から、人体のひねりに関する講義を聞くこともできました。宝塚歌劇では、普段では考えられないほど可動域の広い動きを目にしますが、それがなぜ可能になるのか、人の骨や筋肉がどのような仕組みになっているのかを説明していただき、とても新鮮でした。私は無機材料の研究をしており、授業で人工骨を作製したり、生体材料について学んだりした経験があります。今回の講義を受けながら、人の体のように複雑でありながら高い強度を併せ持つ人工物をつくるにはどうすればよいのかを考え、以前学んだ知識を改めて引き出す時間にもなりました。
研究を一人で進めていると、いつも同じところばかりを見てしまい、自然と視野が狭くなりがちです。だからこそ、常に他の人の意見に耳を傾け、異なる分野の研究にも関心を持つことが、研究を進めるうえで重要だと感じますが、本イベントはまさにそのことを教えてくれたように思います。一つの作品を観て、その作品について理解したつもりでいても、事後学修で他の人の意見を聞いたり、異なる分野の先生の講義を受けたりすることで、それまで見えていなかった側面が見えるようになり、作品への理解がより一層深まりました。私はこの経験を研究にも活かし、他の人の意見や他分野の研究にも積極的に関心を持ちながら、より多様な観点からものごとを捉え、研究を進めていきたいと考えています。

上原綾太さん(物質理工学院 材料系 博士後期課程2年)

今回、宝塚歌劇月組公演『RYOFU』を観劇する機会をいただき、大変貴重な経験となりました。
本作では、登場人物一人ひとりの信念や葛藤が繊細に描かれ、迫力ある歌やダンス、緻密に計算された舞台演出によって、作品の世界観が見事に表現されていました。また、場面転換や照明、音響まで細部にこだわり抜かれており、一つの作品を創り上げるためには、多くの人が専門性を持って協力することが不可欠であると実感しました。
私は現在、高分子材料を用いた半導体微細加工に関する研究を行っています。研究では、自分一人で実験を進めるだけではなく、研究室の学生や教員、共同研究先の先生方と議論を重ねながら研究を進める場面が数多くあります。今回の観劇を通して、それぞれが異なる専門性を持ちながらも、一つの目標に向かって協力することの重要性を改めて認識しました。今後は、自分の研究だけに目を向けるのではなく、研究室内で積極的に議論や情報共有を行い、お互いの知識や経験を活かしながら研究を進める姿勢をさらに大切にしたいと考えています。
また、『RYOFU』の完成度の高い舞台は、一朝一夕で作られたものではなく、出演者やスタッフが日々試行錯誤を重ね、何度も改善を繰り返した結果であると感じました。研究も同様に、一度の実験で理想的な結果が得られることはほとんどなく、失敗の原因を考察し、条件を見直しながら少しずつ前進していくことが求められます。今回の観劇を通じて、目に見える成果だけでなく、その背景にある地道な努力や準備の大切さを改めて実感しました。
今後は、研究室での実験や共同研究においても、周囲とのコミュニケーションをより大切にしながら、一つひとつの実験に丁寧に取り組み、より良い研究成果につなげていきたいと考えています。また、異なる専門分野の人々と協力して一つの成果を生み出す姿勢を忘れず、研究者として成長していきたいと思います。

浦田櫂利さん(理学院 物理学系 学士課程4年)

今回の「科学技術と芸術の融合プロジェクト~宝塚歌劇から学ぶ~」では、事前学修、宝塚歌劇の鑑賞、事後学修という三つの段階を通して、一つの作品を多角的に理解する貴重な機会となりました。公演『RYOFU』では、『三国志演義』を題材としながらも、呂布と貂蝉を中心とした物語が展開され、華やかな舞台演出や迫力ある音響、出演者たちの高い表現力によって、歴史作品が現代的なエンターテインメントとして表現されていることを実感しました。また、『水晶宮殿』では、豪華な衣装や照明、美しいダンスが一体となり、宝塚歌劇ならではの華やかな世界観を存分に味わうことができました。
特に印象に残ったのは、舞台を構成するあらゆる要素が緻密に計算され、一つの作品として完成されている点です。舞台装置や照明、音響、出演者の動線などが互いに調和し、観客を物語の世界へ引き込む演出には、高度な技術と綿密な計画が欠かせないと感じました。事後学修では、建築や音響、演劇学、医学など、それぞれ異なる専門分野の視点から公演を振り返ることで、芸術作品は単なる娯楽ではなく、様々な学問領域と密接に関わっていることを理解できました。同じ作品であっても、専門分野ごとに着目する点が異なり、新たな発見が生まれることが非常に興味深かったです。
今回の経験を通して、芸術を鑑賞するだけでなく、その背景にある技術や運営、演出の意図まで考える姿勢の重要性を学ぶことができました。観客を惹きつける演出や空間づくり、限られた時間の中で印象に残る体験を提供する工夫は、今後のイベント運営においても大いに参考になると感じました。参加者が作品の世界に没入できる導線や、展示・体験だけでなく事前学修・事後学修を組み合わせる構成は、イベント全体の満足度を高める有効な手法であると考えます。今回得られた知見を今後のイベント運営に活かし、来場者により深い体験と学びを提供できる企画づくりに取り組んでいきます。

お問い合わせ先

大岡山学生支援センター 未来人材育成支援室

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