東京科学大学と政策研究大学院大学が包括連携協定を締結

東京科学大学（理事長：大竹尚登、Science Tokyo）と政策研究大学院大学（学長：大田弘子、GRIPS）は、それぞれの科学技術研究と政策研究の知見と実績を基に、科学技術イノベーションのさらなる創出ならびに人材育成を推進することを目的として、研究・教育・大学運営等の連携を行う包括連携協定を締結しました。これに伴い、締結式を10月1日にScience Tokyoにおいて行いました。

Science Tokyoは、複雑な社会課題や未知の危機に対し、開かれた大学として国内外・産官学の知を結集してその解決を図り、「善き未来」を創造することを目指しています。GRIPSは、日本を代表する政策研究・教育の拠点として、社会課題に取り組む産官学のハブとなることを目指し、科学技術イノベーション政策に注力しています。

科学技術分野における政策の視点強化を図るScience Tokyoと、科学技術分野の知見を採り入れることで政策研究・教育の深化を期待するGRIPSが、包括的に連携することは、双方の研究・教育のポテンシャルを拡げ、わが国の科学技術イノベーション政策の高度化につながるものです。

1. 科学技術と政策が関連する分野における研究面での連携
   
2. 学生間の交流を含む教育面での連携
3. 事務職員の人事交流や研修の共催等の大学運営面での連携
4. 産業界との連携や国際交流等のその他の連携

最先端の科学技術の知見を有するScience Tokyoと、政策研究に高度な知見を有するGRIPSとが連携し、科学技術・イノベーション政策についての共同研究や、Science Tokyoの分析組織I⁴Collective（I4C：アイ・フォー・シー）の活動への協力等により、日本にとって戦略的に重要な科学技術について、より立体的・重層的な研究や分析、提言を行います。

1. 政策研究と科学技術研究を融合する共同研究の推進
   • それぞれの研究成果を生かした共同研究を進め、科学技術・イノベーション政策に関する政策ニーズへの対応や積極的な政策提言を行います。具体的には、
     ・「ミッション志向型トランスフォーマティブ研究およびイノベーションの推進方策」
     ・「世界をリードしている技術シーズの市場展開を可能とするオープン・クローズ戦略」
     ・「高度科学技術イノベーション人材の需給や育成」など。
     また、双方の大学の研究室の連携により、互いの学生への研究指導も可能とします。
2. 戦略的構想を進めていくための重点課題の抽出
   • 科学技術と政策研究の共通理解から、わが国が戦略的に注力すべき重点課題を明確化。GRIPSが、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業（SciREX事業）等で蓄積してきた政策研究の知見と、Science Tokyoが有する科学技術に関する知見とを融合させ、より確度の高い未来洞察の手法や研究戦略の策定、イノベーションシステム形成の枠組みを開発します。Science TokyoのI4Cを、GRIPSがSciREX事業で培ってきたネットワークをさらに発展させる場としても活用し、研究会やワークショップ等を共同で実施します。
3. 異なる視座を組み合わせた社会的対話の推進
   • 企業等を含む社会の様々な層を巻き込んだシンポジウムやセミナー等を開催し、戦略的な科学技術政策構想について社会に広く発信します。

日本を含むアジアの行政官が学生の多数を占めるGRIPSと、将来の先端技術をリードすることが期待される学生が多く学ぶ Science Tokyoとの連携により、両学による様々な教育関係のイベントの充実や、双方の強みを活かした教育課程の構築を目指します。

1. 学生向けセミナー、イベントなどにおける教員、学生の相互交流の促進
   • GRIPSフォーラムにおけるScience Tokyo 教員による登壇・講演やScience Tokyo 学生の参加、Science Tokyo が実施する各種セミナーやシンポジウムへのGRIPSの学生（国内外の行政官）の参画など、教員・学生等による相互交流の促進
2. 公務員向け研修コースの充実
   • Science Tokyo教員の協力によるGRIPSの公務員向け研修コースの研修内容の充実
3. 両学の協力による履修証明プログラムの充実
   • GRIPSの「科学技術イノベーション政策・経営人材養成短期プログラム」に、最先端の知見を持つScience Tokyo 教員が参画するなど履修証明プログラムの充実
4. 双方の強みを活かした授業科目の相互提供
   • 量子技術、AIなど政策的に重要性の高い分野に係るScience Tokyoの科目や、諸外国（特にアジア等の開発途上国）における科学技術政策の動向等を学ぶことができるGRIPSの科目など、それぞれが強みを持つ分野での授業科目の相互提供
5. 将来的には、両学の共同による新科目や新課程の実施など教育課程上の連携協力の充実を目指す
   • Science Tokyo 教員による先端科学技術の概略を学ぶ科目や、GRIPS教員による科学技術イノベーション政策の概論を学ぶ科目のほか、両学の教員によって、戦略的な重要科学技術政策を実現する人材を育成する科目の創設を目指します。

両大学の事務局の人事交流や研修などを進め、大学運営基盤の更なる強化を目指す

1. 事務職員等の人事交流の実施
2. 職員研修の共催によるメニューの充実（情報セキュリティなど）

東京科学大学：
東京科学大学（Science Tokyo）は、東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して2024年10月に誕生した国立大学です。「『科学の進歩』と『人々の幸せ』とを探求し、社会とともに新たな価値を創造する」をMission に掲げ、両大学のこれまでの伝統と先進性を生かしながら、どの大学もなしえなかった新しい大学の在り方を創出していきます。

政策研究大学院大学：
政策研究大学院大学（GRIPS）は、政策及び政策の革新にかかわる研究と教育を通して、我が国及び世界の民主的統治の発展と高度化に貢献することを目的としています。GRIPSは政策研究を専門とする大学院で、1997年に国立大学として開学しました。世界各国から未来の政策リーダーや研究者が集まる国際的な政策研究・教育の拠点です。

• プレスリリース東京科学大学と政策研究大学院大学が包括連携協定を締結－科学技術研究×政策研究で科学技術イノベーションの高度化へ－（PDF）
• 政策研究大学院大学（GRIPS）