未来人材応援プロジェクト「みらい創造チャレンジ」2025年度(第5期)採択プロジェクト最終成果報告会を開催
学生の「想い・アイディア」をカタチに。1年間の挑戦と成果を発表
東京科学大学(Science Tokyo)大岡山学生支援センターでは、未来人材応援プロジェクト「みらい創造チャレンジ」2025年度(第5期)採択プロジェクトの最終成果報告会を、8月7日、Hisao & Hiroko Taki Plazaにて開催しました。
「みらい創造チャレンジ」は、「想い・アイディア」を実現したい学生の「創造チャレンジ」「最初の小さな第一歩」を応援するため、大岡山学生支援センター 未来人材育成支室と教育推進部 学生支援課が、本学の同窓会組織である一般社団法人 蔵前工業会と共催し、2021年度から実施している学生支援プログラムです。学士課程から博士後期課程までの学生2人以上のグループにより行われる活動を対象とし、採択したプロジェクトに対して、1プロジェクトにつき最大50万円の支援金を支給しています。
2025年度(第5期)は8件(グループ、計47人)の応募があり、書類審査とプレゼン審査を経て、以下の2件を採択しました。
- 「医療的ケアについて知ってもらう絵本作り」プロジェクト ― 医療的ケア理解からはじまるインクルーシブ教育(29人)
- ライトファン層の野球応援参加促進を目的とした「野球応援歌リアルタイム識別・歌詞表示システム」の開発(2人)
採択後は活動場所を提供するとともに、2025年10月の活動開始から翌年8月の最終成果報告会まで、学生支援センター 自律支援実施委員会の教員が学生たちの活動を継続的にフォローアップしました。毎月のミーティングで活動の進捗や課題について報告を受け、必要に応じてアドバイスを行うなど、学生たちの試行錯誤を支えながら、プロジェクトの実現に向けて伴走しました。
報告会には、未来人材応援プロジェクトの支援者であり、本学の卒業生でもある株式会社ぐるなび 取締役会長・創業者の滝久雄氏をはじめ、株式会社NKB、一般社団法人 蔵前工業会、本学の教職員や学生などが出席しました。
報告会では、2つの採択プロジェクトから、1年間の活動を通じて得られた成果や学び、今後の展望について発表が行われました。発表後には、出席者から学生たちへの質問や意見が寄せられ、プロジェクトの成果や今後の展開について活発な意見交換が行われました。
採択プロジェクト紹介
「医療的ケアについて知ってもらう絵本作り」プロジェクト―医療的ケア理解からはじまるインクルーシブ教育について
本プロジェクトは、子どもや大人が医療的ケアへの理解を深め、医療的ケア児が地域で自然に受け入れられる共生社会の実現を目指す取り組みです。2021年に制定された医療的ケア児支援法制定により行政は、地域の保育園や小学校などで医療的ケア児が学び、生活するための環境整備を進め、地域全体で支えていくという理念を示しました。しかし、現場での知識不足や不安から、医療的ケア児の受け入れに対してハードルが高い現状があります。 そこで学生団体aileは活動の一つとして、当事者家族や医師・看護師の協力のもと、今回は医療的ケアの中でも気管切開に焦点を当て、医療的ケア児と園児との幼稚園での様子に焦点をあてた絵本と読み聞かせ動画「みーんなおなじ」を制作しました。制作した絵本を保育現場や学校、小児科をはじめとする医療機関、行政などの各機関に無償で配布するとともに、以下の動画の無料配信による啓発活動を展開しました。
読み聞かせ動画
代表学生:岩下和日香さん(保健衛生学研究科 看護先進科学専攻 修士課程1年)
学生団体aileは、インクルーシブ社会を目指す団体です。これまで、大学生と障がいのある同世代が共に学び合う活動を行ってきました。分離教育で育った私たちの世代は、活動を通じて初めて障がいのある方と出会う学生も多く、幼少期からの交流が「心のバリアフリー」を広げる鍵だと実感したことが本プロジェクトの原点です。
制作では、描画や動画編集などそれぞれの過程で医歯学系や理工学系をはじめとする多分野のメンバーが活躍しました。それぞれの得意を生かすことで、単一分野では成し得ない大きな力が生まれることを実感しています。当事者や専門職の視点を取り入れながら、デザインや動画表現の細部までこだわり抜きました。また、みらい創造チャレンジプロジェクトでは担当の先生方との毎月のミーティングがあり、1年にわたり先生方に親身に伴走していただけたことは、大変心強かったです。
完成した作品には、当事者ご家族や教育・保育・医療現場から「理解のきっかけになる」と温かいお声をいただき、大きな手応えを感じています。「みらい創造チャレンジ」での学びとご支援を胸に、医療的ケア児が地域で当たり前に受け入れられる社会を目指し、今後も啓発活動を続けてまいります。
東京科学大学の強みである多分野の知を結集し、特に「医工連携」の視点から学問領域を横断して学ぶことで、医療と技術の融合を通じて社会をより良くする研究に取り組んでまいりたいと考えています。
ライトファン層の野球応援促進を目的とした「野球応援歌リアルタイム識別・歌詞表示システムの開発」について
本プロジェクトは、野球観戦において応援団が演奏する応援歌をスマートフォンで録音・識別し、歌詞を表示することで、「誰でも一緒に応援歌を歌える」観戦体験の実現を目的としています。球場では、選手専用曲やチャンステーマなど多様な応援歌が試合状況に応じて演奏されます。しかし、応援歌の歌詞は応援団のWebサイトに掲載されているものの、選手専用曲以外では曲名が分からず、目的の歌詞にたどり着けない場合が多くあります。応援歌を歌いたくても、どの曲が演奏されているか分からないことで応援への参加が難しくなっています。そこで、演奏中の応援歌を自動で識別し、対応する歌詞を提示することで、誰もが気軽に応援に参加できるサービスの開発に取り組みました。
代表学生:茂呂征弥さん(環境・社会理工学院 融合理工学系 博士後期課程2年)
私は小学3年生の頃から東京ヤクルトスワローズを応援しています。昨年5月に研究室メンバーと神宮球場を訪れた際、東京ヤクルトをあまり知らない後輩の「応援歌の歌詞が分からず、心から応援に参加できない」という声がきっかけとなり、球場で流れる応援歌をわずか数秒の音声からAIで判定し、歌詞を表示するアプリ「アンセマッチ」を開発しました。私は現在、環境・社会理工学院の博士後期課程で、重度知的障害児・者の自立支援をテーマに、ユーザー参加型のプロダクト・サービスデザインを研究しております。そこで培った「ユーザーの声から課題を捉え、技術で形にする」姿勢を本プロジェクトにも生かしました。開発では約98%の判定精度を実現し、プレリリース段階まで到達しました。今後は応援団や球団スタッフの方々とも連携し、初めて球場を訪れる人やライトなファンも、周囲と声を合わせて応援し、球場の一体感を味わえる観戦体験を広げていきたいと考えています。本プロジェクトにご支援・ご助言くださった関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
最終成果報告会参加者からの声
- 両取り組みにとても感動しました。実現したい想い、試行錯誤、正課教育では経験できない豊かな経験をしていますね。プレゼンもすばらしかったです。
- 自由な発想と教育の落としどころとして、とても良い取り組みであると感じました。
- 医療的ケア児に対する理解促進は大変重要なものだと思います。その課題に対して、まっすぐに向き合っているのがすてきだと感じました。
- 私自身も応援歌を歌うことまではできずに試合観戦をしているので、実際に「アンセマッチ」を活用してみたいと感じました。アプリ開発においても身近な課題と自分自身が専攻している学問や技術を用いて社会実装につなげていくというプロセスが非常に参考になりましたし、興味深い発表でした。
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更新履歴
- 2026年10月2日 本文の編集を行いました。
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