「Science Tokyo 『人材の泉』キックオフ・シンポジウム」を開催

2026年3月3日 公開

東京科学大学(Science Tokyo)アントレプレナーシップ教育機構は、2026年2月12日、大岡山キャンパスの東京科学大学蔵前会館ロイアルブルーホールにて「Science Tokyo『人材の泉』キックオフ・シンポジウム」を開催しました。

アントレプレナーシップ教育機構(Center for Entrepreneurship Education:CEE)は、アントレプレナーシップ教育を全学位課程の全学生に展開することにより、起業に限らず、開業、企業、大学、政府機関、国際機関、保健・医療機関、NGO/NPOなどの多様な組織において、新しい価値を創造することでSDGs等が掲げるグローバル課題を解決し、総合知を活かして未来社会を創る人材を育成することを目的とし、2023年4月に設置されました。

本シンポジウムでは、アントレプレナーシップ教育機構の体制とともに、卒業生と連携するためのネットワーク・データベース「人材の泉」の意義と活動を紹介しました。また、実践的なアントレプレナーシップ教育に関する基調講演、本学卒業生によるキャリア形成に関する講演およびパネルディスカッションを行いました。

開会挨拶

井村順一理事(総合戦略担当)

井村理事は開会の挨拶で、教育における多様な卒業生との交流がますます重要性になってきている状況を説明しました。そして、卒業生とのネットワークが活発に機能することで、大学の中に挑戦が循環する流れが生まれ、この循環こそが、アントレプレナーシップ教育を持続的に発展させ、未来社会を牽引する多様な人材を輩出する基盤となると述べ、「人材の泉」の今後への期待を示しました。

井村順一理事(総合戦略担当)

アントレプレナーシップ教育機構 人材エコシステム連携室 活動紹介

蒲池利章 アントレプレナーシップ教育機構 機構長
小林郁夫 アントレプレナーシップ教育機構 人材エコシステム連携室 室長

蒲池機構長は、我が国におけるアントレプレナーシップ教育の課題として、諸外国と比べて学生に対するアントレプレナーシップ教育の提供機会が少ないことをあげ、アントレプレナーシップ教育機構のミッションは、目指すキャリアにかかわらず、すべての学生に高度な専門力を活かすアントレプレナーシップを身に着ける機会を提供することとし、その必要性を述べました。
また、「リーダーシップ・価値創造教育実施室」、「グローバル教育実施室」、「キャリア教育実施室」の3つの教育実施ユニットと、ユニットを支援する「ものつくりセンター」、「人材エコシステム連携室」からなる機構の体制について説明をしました。

小林室長は、学内外の様々な機関、組織、個人と連携して推進することの重要性を述べ、在学生・卒業生・教員等のネットワークを統合した高度専門人材エコシステムである「人材の泉」の役割、運営について説明しました。変化の激しい時代でも自分の価値を発揮できる人材を育成するためには、異なる背景、知識、経験を持つ者同士がお互いに影響し合いながら学ぶことができる機会と環境が不可欠です。小林室長は、「人材の泉」が「社会共修」、「国際共修」、「異分野共修」の場を形成するための人的な基盤となることを強調しました。
また、人材エコシステム連携室やその他の組織が開催するセミナー等に参加した学生に「アントレポイント」を与え、所定のポイントを獲得した学生がアントレプレナーシップ教育機構開講科目「科学・技術・文化・社会とイノベーション1」の単位を取得できる「アントレプレナーシップ教育機構認定講座」についても紹介しました。

蒲池利章 アントレプレナーシップ教育機構 機構長
小林郁夫 アントレプレナーシップ教育機構 人材エコシステム連携室 室長

基調講演「共修から社会実装へ:アントレプレナーシップ教育を動かすレバレッジポイント」

大阪大学 共創機構 講師 加藤浩介氏

大阪大学の加藤浩介講師にアントレプレナーシップ教育の実践についてお話いただきました。
加藤氏は、アントレプレナーシップ教育の中核は、①自己理解から行動し、仲間と試行錯誤し、②仮説検証して学び、③失敗を克服し軌道修正して改善し続けることの「反復」であるとし、卒業生とのネットワークは、反復を促進し持続するための外部推進力として機能するエコシステムであるとして、「人材の泉」に対する期待を述べました。加藤氏は、「アントレプレナーシップ教育は起業家だけに必要なものではなく、『すべての学生』にとって、将来のキャリアの基盤となる価値を創造する力、意思決定・挑戦を継続していく力を育てる教育である」として、本学が全学生に対して実施していることについて賛同いただきました。また、異分野共修は仲間との試行錯誤による意思決定力を、社会共修は現場制約の中での検証と改善を行う力を、国際共修は先見性と国際性を鍛えることができるとし、本学におけるアントレプレナーシップ教育の実施体制を高く評価しました。

大阪大学共創機構 加藤浩介氏

センパイトーク

vivola株式会社 代表取締役CEO 角田夕香里氏
富士通株式会社 Digital Shifts事業部 上村泰紀氏
味の素株式会社/文部科学省 科学技術・学術政策局 高倉淳氏
塩沢真理子 アントレプレナーシップ教育機構 ものつくりセンター 特任准教授

シンポジウムの最後は、ものつくりセンターの塩沢特任准教授のファシリテートのもと、各分野で活躍する3人の卒業生に「どのようにキャリアを拓いていったのか」についてお話いただき、最後にパネルディスカッションを行いました。
3人からは、我流ではなく、社内勉強会などの機会に方法論を主体的に学び、必要に応じたトレーニングも受けながら実践されていたこと、社内起業制度などがある企業ではそれを利用したこと、学業・仕事以外の活動(アルバイト等)も含めて主体的に取り組み、自己理解・自己表現を深めながら、新たな価値を形にしていったことをお話いただきました。パネルディスカッションにつづく質疑応答の中では、成功例だけではない苦労したことや、起業の原点になった原体験を教えてほしいなどの質問に対して、卒業生それぞれの経験からお答えいただきました。アントレプレナーシップを発揮しながら第一線で活躍されている卒業生による話題提供は、参加した学生、教職員にとってリアリティがあり、今後の活動に生かせる学びが多くありました。

富士通株式会社 Digital Shifts事業部 上村泰紀氏(左上)
vivola株式会社 代表取締役CEO 角田夕香里氏(中上)
塩沢真理子 アントレプレナーシップ教育機構 ものつくりセンター 特任准教授(左下)
味の素株式会社/文部科学省 科学技術・学術政策局 高倉淳氏(中下)
会場で聴講する参加者(右)

閉会挨拶

須佐匡裕 アントレプレナーシップ教育機構 副機構長

閉会にあたり、須佐副機構長が挨拶を行いました。
本シンポジウムの内容を振り返り、同じ大学で学んだ先輩が、起業や新規事業、研究開発など、さまざまな現場で挑戦している姿は、学生にとって魅力的なロールモデルであり、先輩の経験や失敗談は、教科書では得られないリアルな学びを提供し、学生の「自分にもできるかもしれない」という挑戦する気持ちを育むうえで大きな刺激となると述べ、卒業生とのネットワークによるコミュニティの重要性について所感を述べました。最後に、「人材の泉」を中心としたアントレプレナーシップ教育機構の挑戦を応援してほしいと呼びかけ、閉会の挨拶としました。

須佐匡裕 アントレプレナーシップ教育機構 副機構長

参加した学生からのコメント

◆医歯学系学生から
本日のイベントは、大変勉強になりました。今回の『人材の泉』のような取り組みを学生起点でも何かできないのかと学生数名と企画を立案しております。『人材の泉』の活動を大きくしていけるように学生として何かお手伝いしていきたいです。

◆理工学系学生から
基調講演では、「アントレプレナーシップ」は、根性論ではなく、自己理解、仮説検証、軌道修正の一連の反復であるというお話を伺い、これは実際の生活にも通じると感じました。また、センパイトークで登壇した先輩方は、多様な背景を持っていましたが、共通していたのは、自らの専門領域にとどまらず、新たな分野へと踏み出し、挑戦を重ねてきた姿勢だと感じました。そのような先輩方の話を聞いて、理系だからといって研究のみを行うのではなく、「その結果としての技術を、どのように実用化し、社会に還元していくか」という視点が重要であることを、強く感じさせられました。
このフォーラムに参加したことで、アントレプレナーシップは生まれ持った才能ではなく、行動や思考の在り方を変えることで育まれるものであるということがわかり、それをどう身に着けていけばよいのかについて理解を深めることができました。そのきっかけは、思いがけないところで飛び込んでくると伺ったので、機会を逃がさないために、「何者にもなれる」学生のうちに、できる限り様々な機会に手を伸ばし、主体的に行動する姿勢を持ち続けたいと思います。

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