東京科学大学博物館では、次世代・次々世代の科学者や技術者の育成を目的として、小学生〜高校生を対象とした科学教室を定期的に開催しています。今年は、物質理工学院 材料系の協力のもと、中学生と高校生を対象にした科学教室「体験学習で知るセラミックの世界 東京科学大学発の世界的発明!『フェライト磁石』をつくろう」を2月23日に大岡山キャンパス内の学生実験室で開催し、20人が参加しました。
なお、本科学教室は、東京科学大学(Science Tokyo)の理科教育振興支援(ものつくり人材の裾野拡大ならびにSTEAM教育の推進支援プロジェクト)、AirTrunk社、富士通株式会社の後援を受けて開催したものです。
代表的なセラミック磁性材料であるフェライトは、1930年代に東京工業大学(現Science Tokyo)の加藤与五郎教授(肩書は当時)と武井武助教授(同)のグループが中心となって研究開発を行いました。フェライトの事業化を目的として1935年に設立された東京電気化学工業(現TDK株式会社)は、大学発スタートアップの代表的かつ先駆的な成功事例とも言えます。
フェライトに関連した素材技術開発や製品化は世界的に進められており、今日でも我々の日常生活を支え続けています。本科学教室は、このフェライトという材料の魅力について体験的に学習することを目的に企画しました。
講師に篠崎和夫氏(本学 名誉教授)、櫻井修氏(旧東京工業大学 准教授)、吉川英見氏(本学 技術専門員)を迎え、前半の講義では、篠崎氏が高機能材料としてのセラミックスの世界と、その中におけるフェライトの特性・製造方法・活用事例について解説しました。
後半の実験では、様々な条件でフェライト磁石を作製し、その磁気の大きさを磁石間の吸引力や反発力をもとに測定しました。セラミックスであるフェライト材料は高温の焼結プロセスでの作製が一般的ですが、本科学教室では中高生が短時間で実施できる必要があります。そのため、講師の方々が予備実験においてフェライト粒子と樹脂を混合したものを加圧成形法でフェライト磁石とするプロセスを確立し、本科学教室の実験に臨みました。
具体的な実験内容は、(1)原料粉末の秤量、(2)フェライト・ペレットの成形、(3)フェライト・ペレットの寸法計測、(4)フェライト・ペレットの着磁、(5)フェライト磁石の磁力の測定、(6)残留磁気モーメントの計測、(7)測定結果のグラフ化、からなります。
参加した中高生は本学の学生スタッフの指導のもと、初めて触れる実験設備を使って楽しく実験に取り組みました。実験後には、得られたグラフをどう理解し、そこから材料の特性をどう読み取るかなどについて篠崎氏の解説があり、各参加者が行った実験結果それぞれからフェライトの物性を考察する方法を確認しました。
科学教室の終了後に希望者は、物質理工学院 材料系の生駒・安楽研究室と松下(伸)・久保田研究室を見学。Science Tokyoで行われている最先端のセラミックス研究の一端を知る機会にもなりました。
参加者のコメント
- (高校の)授業ではなかなか扱う機会がない実験器具に触れて、とても楽しかったです!
- 学校の実験は結果が分かった上で行いますが、今回の実験は結果を知らずに行ったので、とても楽しかったです。
- 将来研究職に就きたいので、その最前線のような基礎研究ができてうれしかった。
- 最後の資料の考察が深く、とても面白かった。