東京科学大学(Science Tokyo)は3月14日、大岡山キャンパス 西9号館 ディジタル多目的ホールにて「データサイエンス・AI全学教育機構シンポジウム2025~生成AI時代における教育が導く未来~」をオンラインとのハイブリッドで開催しました。
このシンポジウムは2023年から3回目の開催となり、今年度は2022年のChatGPT登場以降、社会的に大きな影響を与えている生成AIに焦点を当てたテーマとしました。産官学および本学や他大学の学生を含む多方面から参加者が集まり、現地参加者は125人、オンライン参加者は164人、計289人の参加がありました。

シンポジウムは、データサイエンス・AI全学教育機構の小野功副機構長の司会のもと、大竹尚登理事長、田中雄二郎学長、文部科学省高等教育局専門教育課の森次郎企画官、データサイエンス・AI全学教育機構の三宅美博機構長の挨拶から始まりました。



続いて、3件の講演が行われました。
まず、人工知能学会会長の栗原聡氏(慶應義塾大学 教授)をお招きし、「AIとの共生がもたらす『学び』の変容」について講演をいただきました。生成AIを活用するには「自分の要望を適切に文章化する能力」が求められ、「広い視野を持って判断する」ことでAIとの共生を実現し、人間の創造力が高まるとの示唆がありました。
次に、半熟仮想株式会社の共同創設者である齋藤優太氏(コーネル大学 博士後期課程学生)から「生成AIの時代に求められる問題設計能力」と題した講演がありました。KPIやKGIに合った問題設計を行うことは未だ人間の手に委ねられている点であり、問題設計能力を育てる教育が大学等で行われるべきだとの提言がありました。
3件目として、Science Tokyoから笹原和俊教授(環境・社会理工学院 イノベーション科学系)が登壇し、「生成AIと教育の共創:分断の超克と包摂的な価値創造」という題目の講演を行いました。SNS等によって同じ意見を持つ者が集まる「エコーチェンバー現象」により社会の分断がさらに加速している一方で、AIによって「似ているが少し異なる」人間同士を繋げることで、多様な意見を知り、分断から包摂へ転換することができる、との提案がありました。

続くパネルディスカッションでは、3人の講演者に加えて学生4人(理工学系2人、医歯学系2人)が参加して、生成AI時代に求められるスキルや人材育成についての議論が行われました。AIは何ができるのか、どう使うべきなのか等を、パソコンの授業のように初等教育などで格差なく教育が提供されるべきではないか、という指摘が学生からなされるなど、熱心な議論が交わされました。

参加者からのアンケートでは、「旬なテーマと研究の裏付けをうまく組み合わせていただき、大変興味深い講演でした」「問題設計や人間性の重要性など、必要な視点が提示され、考えを整理することができました」「東工大と医科歯科大の統合後に、両方の学生が登壇する点が良かった。こうした双方での交流が深まるようなイベントが増えてほしい」などの感想が寄せられました。
シンポジウム終了後は、西5号館2階の食堂「つばめテラス」において、学生、企業関係者を含む参加者による懇親会を開き、相互の交流を深めました。
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