7月22日から23日にわたり、教育本部の主催、教育革新センター・教育推進部の企画・運営により、教員向けの研修である全学FD2025*「東京科学大学のAcademic Well-being(アカデミック・ウェルビーイング)について語り合おう」が開催されました。学外研修施設での宿泊形式の全学FDは旧東京工業大学で実施していたもので、大学統合以降では初めての実施となりました。全学から教員30名が参加したほか、田中雄二郎学長、若林則幸理事・副学長(教育担当)、関口秀俊執行役副学長(教育担当)、依田哲也副学長(教育戦略担当兼融合教育推進担当)/教育革新センター副センター長がオブザーバーとして参加しました。
* FDは、Faculty Development(ファカルティ・ディベロップメント)の略称で、教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みの総称。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義など、将来にわたる持続的な幸福を含む概念です。文部科学省が2023年に策定した「教育振興基本計画(第4期)」においても、将来の予測が困難な「VUCA(ブーカ)」の時代には、少子化・人口減少・高齢化の進展、地球規模の課題などを背景として、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を基本コンセプトに掲げています。
今回の全学FDでは「多様な学生を育む授業/研究室指導」(テーマA)、「対面授業に負けないオンライン授業」(テーマB)の2つのテーマを取り上げました。教室や研究室におけるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の問題点を解消し、そのメリットを活かす方策を検討しました。また、対面授業と比較しながら、オンライン授業のメリット・デメリットを考え、学生の教育成果を高めるオンライン授業の在り方、有効な活用方法を議論しました。

1日目(7月22日)は、平井伸英教授(大岡山学生支援センター)、高田純准教授(保健管理センター)より「学生の多様性とその支援について」、秋田恵一教授(医学部長)より「学びの定着を目指すオンライン授業の工夫」、Rachel Gorman氏(米国大使館 ティーチング・フェロー)より「Universal Design for Learning (UDL): Effective Teaching for All Students」の題目で話題提供がありました。続いて、参加教員はテーマごとの会場に分かれグループ(A1~A4、B1~B3)を編成し、活発な意見交換と討論を行いました。
グループ発表では、テーマごとに各グループの発表および質疑応答を行いました。テーマAでは「教員と学生の適切な距離の保ち方」「Neurodiversity(神経多様性)に配慮した資料の作り方」「学修の進度に応じた配慮」等、テーマBでは「オンライン授業に飽きさせない工夫」「学習意欲に乏しい学生への対応」「オンライン授業の質保証」等の論点が挙げられ、グループで話し合った方策やメリット・デメリットについて共有されました。
その後の夕食・懇親会では、学院、学部・研究科の垣根を越えた交流が行われました。

平井伸英教授(大岡山学生支援センター)、高田純准教授(保健管理センター)

秋田恵一教授(医学部長)

Rachel Gorman氏(米国大使館 ティーチング・フェロー)



2日目(7月23日)は全体討論として、テーマごとの代表グループが前日のグループ活動の内容を報告しました。その後、テーマA・テーマBの参加者でペアになり活動の振り返りを実施しました。続いて、高田准教授、平井教授がワークショップ「教職員のwell-beingを育むために」を行いました。最後に、若林理事・副学長、関口執行役副学長よりコメントがありました。
全プログラム終了後に実施したアンケート(30名/回答率100%)では、参加教員の満足度は「そう思う」と「ややそう思う」を合わせて93.3%と非常に高く、特にグループ討論および高田准教授、平井教授によるワークショップを有益と感じた参加者が多かったという結果となりました。また、自由記述では、今後の全学FDのテーマとして「新しい社会における教育の在り方」「国際化」「医歯学系と理工学系との融合教育」「うつ学生への対応」等を取り上げてほしいとの意見が寄せられました。


高田純准教授(保健管理センター)、平井伸英教授(大岡山学生支援センター)
1日目(7月22日)のプログラム
時間 | スケジュール | 内容 |
---|---|---|
13:00-13:10 | 開会・説明 | |
13:10-13:15 | 挨拶 | 若林則幸理事・副学長(教育担当) |
13:15-13:35 | 話題提供A |
講演者:平井伸英教授、高田純准教授 タイトル:学生の多様性とその支援について |
13:35-13:55 | 話題提供B |
講演者:秋田恵一教授 タイトル:学びの定着を目指すオンライン授業の工夫 |
13:55-14:15 | 話題提供C |
講演者:Rachel Gorman氏 タイトル:Universal Design for Learning (UDL): Effective Teaching for All Students |
14:30-16:10 | グループ討論 |
テーマA:多様な学生を育む授業/研究室指導 テーマB:対面授業に負けないオンライン授業 |
16:20-17:40 | グループ発表 | テーマごとに1グループあたり15分程度(発表時間10分、質疑応答4分、交代時間1分)で発表 |
17:40-18:00 | 説明・集合写真撮影 | |
18:30-20:30 | 夕食・懇親会 |
2日目(7月23日)のプログラム
時間 | スケジュール | 内容 |
---|---|---|
9:00-9:30 | 全体討論 | テーマごとの代表グループの発表 |
9:30-10:00 | リフレクション | テーマA・テーマBの参加者でペアになり活動の振り返り |
10:00-10:40 | ワークショップ |
講演者:高田純准教授、平井伸英教授 タイトル:教職員のwell-beingを育むために |
10:40-10:55 | コメント・挨拶 | 若林則幸理事・副学長(教育担当)、関口秀俊執行役副学長(教育担当) |
10:55-11:00 | 閉会 |
過去の全学FD
- 教育の質向上を目指して全学FD2023「どうする!激変する大学教育環境 -D&Iと生成系AI-」を実施
- 教育の質向上を目指して「全学FD2022」を実施
- 教育の質向上を目指して「全学FD2021」を実施
- 教育の質向上を目指して「全学FD2020」を実施
- 教育の質向上を目指して「令和元年度全学FD」を実施
- 平成30年度全学FD 実施報告
お問い合わせ先
東京科学大学 教育革新センター
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