東京科学大学の関係者が令和6年秋の叙勲を受章

2025年2月21日 公開

令和6年(2024年)秋の叙勲において、長年に渡る教育研究の功労に対し、東京科学大学(Science Tokyo)の阿部正紀名誉教授、井上淳名誉教授、藤平正道名誉教授、天笠光雄名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。

阿部正紀名誉教授 瑞宝中綬章

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身に余る叙勲の栄誉をいただき、学部に入学してから46年間東工大にお世話になったことに感謝の念を新たにしています。特に先輩・同僚の先生方から貴重なご教示とご支援をいただき、また優秀な学生さんからも学んだことをなつかしく思い出します。

私が助手として採用された電子物理工学科の講座では、電気系の学生に向けて量子力学の授業を開講していましたので、それ以来、私は工学的観点からの量子力学教育の一端を担ってきました。研究面では、磁性材料、特に東工大で開発されたフェライトに関する基礎的および応用的研究に従事しました。高品質のフェライト薄膜およびナノ粒子を低温の水溶液中で作製する技術を開発し、作製した材料の電磁的応用および医療工学への応用をめざしました。薄膜については、企業と連携してマイクロ波領域で作動する電磁ノイズ吸収体を実用化し、ナノ粒子については東工大の生命理工学研究科の半田宏教授(現・名誉教授)と共同研究をしました。同教授が磁性ナノ粒子を用いたバイオスクリーニングシステムを実用化するのをお助けするとともに、様々な癌の診断/治療デバイスを開発する共同研究を行いました。

東工大と東京医科歯科大学が統合された東京科学大学が、医工連携のみならず、あらゆる分野の連携を推進して発展することを祈念いたします。

阿部正紀名誉教授

井上淳名誉教授 瑞宝中綬章

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「めでたさも 中くらいなり おらが春」と言うところでしょうか。

「叙勲の通知がありましたが、受けられますか?」との突然の電話連絡。一体何事かわからないままに、何はともあれ、悪そうな話ではないし「あげると言うものは貰っておこう」と考え、今回の受章ということになりました。

しかし、今回の受章の理由がほとんど分からないのですから、感想の求めには答えように困るのです。その理由が学問上のことでないことはほぼ明らかでしょう。例えば最近書いた論文が何であれ、それの評価による何らかのお褒めでもなさそう。かといって東工大で30年勤めたことへのご褒美?だとすると他にもそのような人々は沢山居られるのだし、さらに大学もごまんとあるのだから、何か腑に落ちないなー?

何はともあれ、皇居内の建物を見てみたいという連れ添いの強い好奇心は無視できず、色々支度をして11月26日の「令和6年度秋の勲章・褒章伝達式」に向かい、これが天皇と平民の有り様なのかと、なかなか得難い経験をしました。

井上淳名誉教授

藤平正道名誉教授 瑞宝中綬章

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この度は瑞宝中綬章という身に余る栄誉を頂き、お世話になった方々に深く感謝申し上げます。東京工業大学には1983年4月工学部助教授として採用頂き、1986年3月に教授に就任。新たに、2007年4月から2008年3月まで生命工学科長、生命理工学部・生命理工学研究科の創設に従事し、生命系教育研究にも尽力して参りました。

研究では、40年近くの永きにわたり、表面・界面科学、コロイド科学、電気化学、物性化学の分野で研鑽を積み、学生と共に3つの大きな成果を上げることができました。

1)有機分子を用いた光電変換素子の開発では、光合成の反応中心を模倣した素子を世界に先駆けて構築することで、高効率の光電変換素子の設計指針を築いた。
2)機能性表面の創生では、電極表面を原子・分子レベルで化学修飾することで、触媒、選択的電気分解、センサーなどの機能を表面に付与する技術を開発。
3)新規プローブ顕微鏡法の開発では、近接場光学顕微鏡、摩擦力顕微鏡、ケルビンプローブフォース顕微鏡、パルスフォースモード顕微鏡、化学力顕微鏡などの様々な表面計測法を開発。

門下生の多くが、国内外の企業や大学、研究機関など、各々の道で活躍中であり、私自身も大変喜ばしい気持ちです。この度は、ありがとうございました。

藤平正道名誉教授

天笠光雄名誉教授 瑞宝中綬章

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私は1964年東京医科歯科大学に入学し、学生時代は漕艇部に所属して年に10ヵ月間は合宿生活でした。1970年同大学口腔外科学講座に大学院生として入局し、当初の研究は診察の基本である視診、触診の表現がどれくらい悪性に関与するか根拠にかけていたので、それらを明らかにすることでした。当時はお粗末な機械と方法により、口の粘膜・病変の表面性状(凸凹など)、色彩変化、硬さを可能な限り客観的に数値化することで悪性との関連をある程度明らかにすることができました。東京工業大学との統合で、この方面の研究が革新的に進んでくれるのではないかと期待に胸が膨らみます。そのほかには前がん病変の悪性化、早期がんの診断治療、進行癌の拡大手術・即時再建治療と口腔機能評価、さらにがんの遺伝子学的研究に関与するようになりました。

退職までに数多くの後輩が学位を取得してくれました。今回、叙勲の栄を賜ったのは、多くの被験者や治療を受けた患者さん、共同研究者、また研究や臨床の場を与えてくれた諸先輩および東京医科歯科大学のお陰と感謝しています。

天笠光雄名誉教授

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