アントレプレナーシップ教育機構グローバル教育実施室は、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の日本語クラスおよびジャパンプログラム(MIT Japan)と共同で、両大学の学生がペアを組み、日本語と英語を教え合いながら異文化理解を深めるオンライン国際交流プログラム「語学タンデム」を実施しました。本プログラムは今年で7回目の開催となり、4月から7月までの約3か月間にわたり行われました。今回は東京科学大学から8名、MITから5名の計13名が参加し、定期的なオンライン交流を通じて互いの語学力向上と異文化コミュニケーション能力の育成に取り組みました。
東京科学大学とMITは継続的な学生交流を行っており、2017年度から両大学の学生が日本の伝統技術を題材に協働して学ぶ「たたら製鉄ワークショップ」などの実績があります。語学タンデムはこうした継続的な交流の一環として実施しており、学生の国際的なコミュニケーション能力の向上につながっています。
「語学タンデム」とは、参加者が互いの母語や学習言語を教え合いながら学ぶ語学学習法です。双方が教える側・学ぶ側となることで、実践的な語学運用力やコミュニケーション能力を養うとともに、相手の文化や価値観への理解を深められる点が特徴です。
オンライン語学タンデム
4月中旬のイントロダクションセッションを皮切りに、各グループは東京とボストンの13時間の時差を乗り越えて日程を調整し、約3か月のプログラム期間中に少なくとも3回の語学タンデムを実施しました。1回のセッションは、日本語での会話30分と英語での会話30分の計60分で構成され、参加学生はそれぞれの言語を実践的に学び合いました。
会話のテーマは学生自身が自由に設定し、
・大学生活や授業・課題に費やす時間
・授業のあとの過ごし方
・日本とアメリカの美術館の比較
・両国で最近人気のアプリや食べ物
など、身近な話題から文化的なテーマまで、多岐にわたる内容について意見を交わしました。多くのグループは、プログラムで定められた回数を上回る3回以上の語学タンデムを自主的に実施し、互いの文化や価値観について対話を重ねることで、語学力を高め、異文化への理解を深めました。
MIT Japanの学生が来日
6月にインターンシップのためMITの学生が来日した際には、語学タンデムでのペアやグループで夕食をともにしたり、映画鑑賞や東京観光を楽しんだりするなど、対面での交流も実現しました。画面越しの交流で築いた関係を実際に深める機会となり、参加学生にとって印象深い経験となりました。
また、MITの学生はアントレプレナーシップ教育機構が開講する「伝統技術と国際協働(ENT.G351/ENT.G451)」の実習にも参加しました。たたら製鉄とペーパーナイフ鍛冶のワークショップ、日本刀鑑賞などの体験を通じて、日本文化や歴史・伝統技術への理解を広げる機会となりました。
ファイナルセッション
プログラムの終盤には、各グループが交流を通じて学んだことや、互いの国や文化について感じたことを自由な発想でまとめた動画を制作しました。完成した動画には、学生生活や文化、食、娯楽など幅広いテーマについての気づきや発見が盛り込まれ、それぞれのグループならではの視点から、交流の成果が表現されました。
7月上旬には、約3か月にわたる個別の語学タンデムセッションの集大成となるファイナルセッションを実施しました。各グループが制作した動画のダイジェスト版を視聴した後、参加者一人ひとりがプログラムを振り返り、東京科学大学の学生は英語で、MITの学生は日本語で感想を発表しました。参加者は互いの成長や交流の成果を共有し、プログラムを締めくくりました。
動画発表後には参加者による投票が行われ、「お互いの大学生活の違い」をテーマに制作したグループ2の動画が最優秀賞に選ばれました。受賞グループには両大学から賞品が贈られたほか、参加者全員にもプログラム参加の記念品が贈呈されました。
プログラム終了後アンケート(参加者のコメント)
「英語でコミュニケーションとる機会が少なく、長く会話をしたことがなかったから、アプリでのメッセージのやりとりからGoogle Meet、対面での長時間の会話が新鮮でいい経験になった。ラフに話してしまって、日本語と英語ごちゃ混ぜで話してたり、文法まで意識して話せなかったところが反省点だが、それでも伝えようとしたら伝わる、という経験をできたところがよかった。 頑張って時間を合わせて、オンラインで話せたが、前半は時差があり、予定調整が難しかった。 MITの学生と思っていたよりも仲良くなることができ、このプログラムが終わっても遊びに行く約束をすることができた。」
”It was very fun overall, and I think that the broad topic suggestions of topics to talk about made it easy to just follow the flow of conversations and speak about what was interesting among group members. Though, I think we were able to get more from the experience by having many sessions, so maybe suggesting a greater number of meetings would benefit participants.”
「まず初めに、このプログラムに心から感謝しています。このプログラムを通じて、英語で気軽にコミュニケーションを取れるようになりました。もちろん、文法や発音についてはまだ注意する必要がありますが、今では英語でコミュニケーションを取ることにほとんどストレスを感じなくなりました。相手のアクセントや状況によっては難しいこともありますし、私の英語が完璧ではないことも事実なので、これからも努力して練習を続けたいと思います。また、このプログラムで得られたものは英語力だけではありません。私が得た最も大きなものは、人とのつながり(ネットワーク)です。Jasonと知り合えたことをとてもうれしく思っています。彼も同じく大学下級生でSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の学生なので、お互いの違いや考え方を共有することができました。またこのような機会があれば、ぜひ参加したいと思います。改めまして、本当にありがとうございました。」
アンケートに回答した全員が「このプログラムを友達にも勧める」と答えました。
参加学生は、交流を重ねる中で互いの文化や価値観への理解を深め、プログラムを通じて築いた関係を深めています。こうした学生同士のつながりは、今後の国際交流や学術交流のさらなる活性化にも寄与することが期待されます。また、プログラム終了後もオンラインで交流を継続しているグループがあり、学生間の交流は現在も続いています。
アントレプレナーシップ教育機構グローバル教育実施室とMIT JAPANは、本プログラムを通じて参加者が築いた友情が今後も続くとともに、学生同士の交流を基盤として、MITと東京科学大学のさらなる関係発展につながることを期待しています。
アントレプレナーシップ教育機構
グローバル教育実施室