東京工業大学*は,同窓会組織である蔵前工業会との共催で,2024年9月25日(水)と26日(木)の2日間,大岡山キャンパス蔵前会館にて,「Dr’s K-meet(博士後期課程学生のための蔵前就職情報交換の集い)」を開催しました。
このイベントは,博士人材(博士後期課程学生,ポスドク)を対象としたキャリア関連フェアとしては国内最大級であり,今回で7回目の開催となりました。当日は,外資系企業を含む83社が参加し,約250名の博士人材(他大学含む)が企業との情報交換を行いました。
*東京工業大学は,2024年10月1日に東京医科歯科大学と統合し,東京科学大学(Science Tokyo)となりました。
最近では,政府が「博士人材の民間企業における活躍促進に向けた検討会」を立ち上げるなど,日本企業が価値創造力を高め,イノベーションと経済の好循環を実現することで競争力を復活させるために,博士人材が企業で大きな役割を果たすことが期待されています。
本イベントは,博士人材のみを対象とし,学生が企業に自らをアピールする場,および,企業が学生に対して説明する場をそれぞれ設け,双方向からマッチングを促進することを特徴としており,毎年,企業および学生双方から大きな注目と高い評価を集めています。
当日は,はじめに,東京工業大学の益一哉学長**および井村順一理事・副学長(教育担当)**が企業参加者に対して挨拶を行いました。現在の博士を取り巻く状況,東京工業大学が博士後期課程において専門教育以外の教育にも力を入れてきたこと,大学と同窓会組織が連携して学生のキャリアを積極的に支援していることなどの説明がありました。また,大学統合を間近に控え,これまでの東京工業大学の活動への支援や協力に対して感謝の意を表しました。
**役職はいずれも当時


続いて,博士後期課程学生が企業関係者に自己アピールを行うポスターセッションが行われました。自ら参加を希望した博士後期課程学生22名(内,留学生6名)が,現在の研究内容,研究を通じて培った知識やスキル,自身の強み,企業でやってみたいこと等を,それぞれポスターにまとめ,企業の人事・研究担当者に直接説明し,質問やコメントをいただきました。
博士後期課程学生は,日頃,学術的な発表を行う機会はありますが,専門外の方が理解できるように研究内容を説明したり,自己アピールを行う機会は,ほとんどありません。参加学生は,事前に,蔵前工業会くらまえアドバイザーやアントレプレナーシップ教育機構の教員から,発表についてアドバイスを受け,練習を重ねて臨みました。
最初に,各学生が順番に1分間ずつ自己紹介を行いました。その後,それぞれのポスターの前に移動し,企業の方々への説明や質疑応答を熱心に行いました。実際の実験器具等を使って説明する学生もおり,終始どの学生のポスターにも人が絶えず,大変有意義な時間となりました。
参加した学生からは,「企業の方の視点や興味を直接知ることができた」「自分では関係が薄いと思っていた業界の方からも関心を持っていただき,視野が広がった」「自分の研究について,こういった考え方やアプローチをするとおもしろいといった話を教えていただいた」等の肯定的な感想が多くありました




続いて実施された企業ブースセッションでは,両日で計83社の博士人材採用に関心のある企業がブースを設け,訪問した学内外の博士人材(計約250名)と,業務内容や将来のキャリア構築等について情報・意見交換を行いました。統合を控えた東京医科歯科大学の学生も多く参加しました。また,留学生向けに英語で対応する企業もありました。


東京科学大学(理工学系)の博士後期課程における教育
東京科学大学(理工学系)の博士後期課程においては,世界最高水準の研究環境での卓越した専門教育だけでなく,アントレプレナーシップ科目と文系教養科目をも必修とする特徴的な教育を実施しています。
特に,アントレプレナーシップ教育は,起業のみを対象としたものではなく,卒業後に企業やアカデミアにおいて自身が大学で培った知識や経験を活かしてどのように活躍していくのかを主体的に考え,未来社会の創造を主導する人材を育成することを目指しています。具体的には,将来のキャリア構築に役立つ実践的な知識やスキルを修得したり,国際性を高め,リーダーシップや価値創造力を身に着けることを目指しており,専門の異なる博士後期課程学生が社会的課題を解決するために新たなビジネスを共同で考えるPBL(Project Based Learning)型の科目等,広範囲な教育を実施しています。
さらに,学生が自らのキャリアプランに対応した能力を身に着け,自身の目指すキャリアパスを実現することができるよう,多様なキャリア関連プログラムを提供しており,本イベントもその一環となっています。
アントレプレナーシップ教育機構キャリア教育実施室
(旧イノベーション人材養成機構)
Email iidpinfo@jim.titech.ac.jp