大学公認サークル aileが「オープンハートキャンパス」を開催

2025年7月16日 公開

重度心身障がいのある方々に大学での受講機会を提供、「大学に行きたい」夢を応援

東京科学大学(Science Tokyo)の公認サークルaileは、5月17日にScience Tokyo湯島キャンパスにて「第1回オープンハートキャンパスat東京科学大学」を開催しました。この企画は、「大学に行きたい」という夢を持つ重度心身障がいのある方々に、本学のキャンパスを訪れてもらい、同世代の友人と交流する機会を提供することを目的としています。

当日は20代の参加者6人が車いすで登校し、aileのメンバーに暖かく迎えられました。参加者は手作りの学生証を受け取り、入学式を行った後、一日学生として本学の学生と共に授業に参加しました。授業の講師は理工学系工学院修士課程の渡邉祐太さんが務め、偏光板や分光シートを使用した光についての講義が行われました。続いて、演習として参加者全員で万華鏡作りの課題に取り組みました。どの参加者も最初は緊張した様子でしたが、だんだん表情も和らぎ学生との交流を楽しんでいました。

入学式では手作りの学生証と校章が参加者に手渡されました
現役学生が講師を務めた光についての講義

イベント中、吸引など参加者への医療的ケアはそれぞれの介助者が行いましたが、医療面の見守りとしてかみさぎキッズクリニック院長の大谷俊樹先生にご協力いただきました。これにより、医療的ケアが必要な方々にも安心して参加してもらえるイベントとなりました。

演習では参加者全員で万華鏡作りの課題に挑戦
当日の活動を振り返りながらリアクションペーパーを記入

参加者からは、「また来たい」「楽しかった」という声が上がり、参加者の家族からは「素敵なイベントで学生さんに感謝します」とのお言葉をいただきました。aileの学生は、「一緒に授業を受ける中で、少し気持ちが通じたかなと感じられる場面があってとても嬉しかった」「光の講義という体験を通して、参加者の学びや視覚的な刺激になるだけでなく、私たちにとってもどのように伝えたら分かりやすいか、どうしたら一緒に感情を共有できるかなど、お互いのことを知ろうと考える良い機会だと感じた」などと話していました。

学生にとって参加者の笑顔が大きな励みに
イベント終了後に参加者とaileメンバーで記念撮影

重度心身障がいのある方にとって、大学進学という選択肢をとることは難しいのが現状です。
aileは、こうした活動を通してキャンパスを訪れるチャンスを創造し、同世代の学生との交流がお互いにとって有意義な時間となることを目指しています。

公認サークルaileは現在 Science Tokyoの工学院、歯学部、医学部の学生が中心となり、留学生や、お茶の水女子大学、東京大学の学生など、多様なメンバーで構成されています。aileは今後も継続してオープンハートキャンパス開催を目指し活動していきます。

参加した学生のコメント

  • 初めはどのようにコミュニケーションを取れば良いか不安がありましたが、今回のイベントを通して障がいのある方と私たちの距離が縮まったと感じました。一緒に講義を受けて、万華鏡のデザイン選びやリアクションペーパーを記入する時に、眼の動きや手の動き、少しの表情の変化で意思を伝えてくれているということが分かりました。
  • 一緒に講義を受けるという機会は、学生にとっても学びが多いと感じました。障がいを持った同級生とは小・中学校ではクラスが違い、高校では別の学校に進んだため、関わる機会がほぼありませんでした。そのため、初めはコミュニケーションに不安がありましたが、aileの活動を通して、会う回数を重ねるほど自然に接することができるようになったと感じています。光の講義という体験を通して、参加者にとって学びや視覚的な刺激になるだけでなく、私たちもどのように伝えたら分かりやすいか、どうしたら一緒に感情を共有できるかを考えるなど、お互いのことを知ろうと考える良い機会になりました。
  • 初めて大学に足を踏み入れた時や、初めて会う同世代の学生に囲まれている時に、参加者の方々が今まで見たことがないくらい明るい表情をしていたことが印象的でした。
  • コミュニケーションにはいろいろな方法があること、相手にもっと気を配ると、これまで見えなかったことに気づけるようになることを学びました。

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