東京工業大学※細野秀雄研究室が所有する「フレキシブル透明アモルファスIGZO薄膜トランジスタ」(登録番号:第00377号)および「パルスレーザーデポジション(PLD) 酸化物薄膜作製装置」(登録番号:第00378号)が、国立科学博物館の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されました。9月10日には東京・上野の国立科学博物館講堂で登録証および記念盾授与式が行われました。
※東京工業大学は、2024年10月に東京医科歯科大学と統合し、東京科学大学(Science Tokyo)となりました。

国立科学博物館による「未来技術遺産」の登録制度は、日本の科学技術(産業技術を含む)の発展を示す貴重な歴史資料や国民の生活や経済、社会、文化のあり方に顕著な影響を与えた科学技術に関する史資料を国の「重要科学技術史資料台帳」に登録し、定期的にアフターケアをしていくことで、企業や博物館など、それぞれの所蔵先での保存を応援するとともに、WEBによる情報公開によって科学技術の開発を担ってきた先人たちの経験を広く伝え、次世代に継承することを目的に創設された制度です。
東京・上野の国立科学博物館講堂で行われた登録証授与式には、細野秀雄栄誉教授と益一哉学長(当時)が出席し、登録証と記念盾が授与されました。
細野秀雄栄誉教授のコメント
2004年のNature論文に載せた、プラスチック上に作製したIGZO-TFTとそれを製膜したパルスレーザー体積装置が、未来技術遺産に認定され、嬉しい限りです。酸化物でまともに使える半導体なんか無理だといわれてきましたが、2012年ごろからIGZO-TFTで駆動する液晶ディスプレイが、2016年ごろからは大型有機テレビが上市され始め、現在ではディスプレイ駆動用にはデファクトスタンダードになりつつあります。また、昨今ではオフ電流が極めて小さいことを利用して、メモリー応用が真剣に研究され、半導体分野でホットな話題となっています。この研究を始めた1993年ごろには考えられない状況です。物質に秘められた可能性を改めて実感しています。
IGZO-TFTの研究開発の背景と経緯については、国立科学博物館の鈴木真之氏が公開情報を使って詳細な報告「薄膜トランジスタ用透明酸化物半導体材料の系統化調査」を作成して公開しています。
この研究は初期には科学研究費助成事業、TFT作製はJST ERATO「細野透明電子活性プロジェクト」によって行われました。神谷利夫(Science Tokyo)、野村研二(当時東京工業大学大学院生、現カリフォルニア大学サンディエゴ校)、太田裕道(当時東京工業大学研究員、現北海道大学)、故 平野政浩(科学技術振興機構、以下JST)、雲見日出也(当時キヤノン株式会社)、古川雅士(JST)をはじめ関係者の貢献は大きなものです。感謝いたします。
関連ページ
お問い合わせ
総合研究院 元素戦略MDX研究センター
Email d2mate@mces.titech.ac.jp